平成15年(ワ)第2804号
損害賠償等請求事件

 原 告  田 中 哲 朗
 被 告  沖電気工業株式会社

準備書面(原告3)

    2004年 9月3日

東京地方裁判所八王子支部
 民事第3部1A係
              御中

      原告訴訟代理人
                  弁護士 大 口 昭 彦

第1 本件不法行為

1,被告の不法行為

(1) 本裁判で原告が裁判所に判断を求める被告の不法行為は、

@「株主総会集中日に総会を開かないことについて採決を取って欲しい。採決を取らないので有ればその理由を述べて欲しい」と質問しているだけの原告に対し、回答を拒否したまま、暴力的に排除したこと。

A その結果、原告を負傷させたということである。

(2) 原告がこれまで明らかにしてきた被告の株主総会に於けるその他の不法行為、また被告従業員に対する人権侵害は、いずれも損害賠償請求に値するものである。しかし、本裁判においては、これらは、被告の不当性を明かにし、かつ原告の正当性を証明する事実として立証することに止める。

(3) 被告は、原告が被告会社を解雇されたものであり、解雇撤回闘争を行っているという理由で上記不法行為を正当化しようとしている。また、原告が株主総会において、利益供与を求めていると主張している。

(4) しかし、その質問が正当なものであれば、たとえその株主がいわゆる「総会屋」であったとしても、議長には答弁する義務があることは疑う余地がない。

(5) 被告は、質問の内容が何であるかではなく、質問をした株主の素性によって、その質問が正当か否かを判断してよいと主張しているのである。このようなことが許されるわけがない。

(6) 原告が、解雇を撤回することを求める発言をかって一度でも被告株主総会でしたことがあるのなら、被告はビデオですべての総会を記録しているのだから、証拠を示して指摘すべきである。未だにそれがなされていないことは、被告の主張に理由が無いことを明確に示している。

(7) 原告は裁判所に対して、これらの事実を検証した上で、上記不法行為についての判断を求めるものである。

第2 2004年第80回沖電気株主総会に於ける暴力排除について。

1,  2004年6月29日に開催された沖電気の第80回株主総会に於いて、被告はまたもや原告を暴力で排除した。

   この件について原告は被告を相手として別訴を予定しているが、本裁判においても、被告の株主総会に対する不当な姿勢を端的にあらわす事実として示す。

2, 経過

(1) 原告は沖電気80回総会に於いて、本書面「第3」に後述する、被告従業員が大分県湯布院町長に対して行った、沖電気公共事業受注に関する贈賄事件(以下湯布院贈賄事件)についての質問を行った。

(2)この質問の内容は、

@ 贈賄を実行した従業員の上司、会社役員は誰があらかじめ承知していたのか。
  
A この事件の為、被告は1ヶ月間の電気事業の営業停止という処分を受けたが、このことによる損害額をいくらと算定するか、

というものであった。(甲第30号証 番号8)

(3)議長であった社長篠塚正勝(以下、社長篠塚)の命を受けた役員前田某は

@ 贈賄を行った従業員は湯布院町長から金を執拗に要求された。(同番号19,23)

A この従業員は贈賄に使った金を家族から借りた。(同番号27,29,31)

B この従業員が「その事実を全部飲み込んでやった」(同番号34)

 との答弁を行った。

(4) 原告はAの質問に関する答弁が無かったので、答弁を求めた。(同番号39,41,42,)

(5) 社長篠塚は原告の質問に答えないまま他の株主に発言を許した。(同番号40,44)

(6) 原告は質問に答えていないとして、さらに回答を求めた。(同番号45,47)

(7) 社長篠塚は「すでに回答された」として質問に答えなかった(同番号48)

(8) 他の株主が質問を始めた。(同番号50))

(9) 原告はその株主に、「あなただって質問に答えないと嫌でしょう。」と株主は回答を得るために質問をするのだから、議長が回答するまで、次の質問者は待つよう同意を求めた。(番号51) 

(10) その株主は「いやとくに。」と、回答を得られなくてもかまわないかのような発言を行った。(同番号52)

(11) 原告は回答が必要のない質問ならするべきでないと指摘した。(同番号53)

(12) 社長篠塚は「不規則発言をやめろ」「着席しろ」というだけで全く質問に答えなかった。(同番号54,56,58以下)

(13) 社長篠塚は退場の警告を行った。  (同番号62)

(14) 原告は目的事項について質問しているのだから回答しないで暴力で株主を排除することは不当だ。と指摘した。  (同番号65、70,73)

(15) 警備員が強制排除を始めたので原告は着席した。  (同番号82)

(16) 社長篠塚は議事を中断し、すでに着席している原告を退場させるよう警備員に命じた。  (同番号83)

(17) 他の株主が議長の強権的議事運営に抗議した。  (同番号91、103)

(18) 原告は「暴力をふるうな。」「体に触るな。」と警備員に求めた。  (同番号121,123、127)

(19)  原告は暴力を振るうのであれば法的手段に訴えると警告した。 (同番号125)

(20) 警備員は着席している原告を取り囲み、椅子ごと原告を持ち上げて運び出そうとした。  (同番号132)

(21) 床に座って運び出されることを拒む原告に、警備員は腕を絡ませるなどして持ち上げようとした。   (同番号147,149,153)(甲第33号証 写真1))

(22) 警備員は「触っていません」「力、入れてません」などと言いながら、腕を絡ませ、原告を持ち上げようとするので原告は触って力を入れている事を指摘し、暴力を止めるよう訴え続けた。  (甲第30号証 番号154,158,160,170,171,172,以下)

(23) この様な状況の下、社長篠塚はさらに退場を促した。  ( 同番号187,189)

(24) 原告は警備員の一人の足にしがみついて持ち上げられないよう抵抗した。  (同番号212) 

(25) 警備員達は原告の脇に腕をねじ込み、また足を掴んで原告の体を持ち上げ、原告を会場から運び出した。 (甲第33号証 写真2)(甲第30号証 番号22,226,234,235)

3, 上記暴力排除に関する被告の違法性

(1) 原告が強制排除された際に行っていた湯布院事件に関する質問は、この総会において原告の質問の前に「報告事項」として一部が報告された、「目的事項」であった。

(2) また、この総会の「招集通知」(甲第32号証 )4pには「沖電気行動規範」に基づく全社員教育を実施すると書かれ、その「沖電気行動規範」(甲第31号証)の4.1には「不正な取引の禁止」について書かれており、この事件はまさに、この規範に違反するものであり、この事件に関する質問はこれらに関する紛れもない「目的事項」であった。

(3) 被告は、この事件について通り一遍の、また、従業員が個人として行ったもので、会社には責任が無いかごとくの答弁を行い、事件の詳細、責任の所在、損害額などの説明を行わなかった。

(4) そこで原告は、

@ 被告会社役員は誰がそのことを承知していたか。

A 上記贈賄事件によって被告が受けた損害額をいくらと算定するか、

という質問を行ったのである。

(5) 贈賄を行った従業員が「その事実を全部飲み込んでやった」という被告の答弁は、実際には会社全体で行った犯罪を、その従業員が罪を引き受けたかの印象さえ与えるものである。
   事実、後述するように、本件は実質的には被告が公共事業を受注するために、常習的に談合行為、贈賄行為を行っておりながら、この従業員に罪を「全部飲み込ませた」事件と考えられる。

(6)原告は、答弁の中に上記Aについての回答がなかったので回答を求めた。

@ 被告はこの事件によって、電気事業に関して1ヶ月の営業停止処分を受けている。

A また岐阜県からは入札停止の処分を受けている。

   これらが、被告にとってどれほどの損害であったかを株主に報告する責任が被告に存在することは疑う余地がない。

(7) またこれらは上記、報告事項に関するだけではなく経理、営業報告の一部でもあり、当然株主総会の目的事項である。したがって、議長である社長篠塚はこの質問に答える責任が存在する。

(8) にも関わらず、社長篠塚は原告の質問に回答を拒絶した。また回答をしない理由さえ述べなかった。これは明らかに商法に規定された議長の説明責任に違反する違法行為である。

(9) 原告は質問に答えるよう求め続けていただけであり、これは株主として当然の権利であることも疑いがない。

(10) にも関わらず、社長篠塚を退場させることを命じ、警備員等に暴力を行使させた。

(11) 警備員が暴力を行使し始めた際に原告はすでに着席していた。にもかかわらず、社長篠塚は警備員に暴力の継続を命じ、株主の体を抱え上げ、足を持って会場から運び出すという、被告が本件で主張している「手を添える」「押し出す方法」などとはほど遠い、過激な方法で原告を排除したのである。

(12) 原告の回答を求める行為は株主の権利として正当なものであり、社長篠塚の行為は違法なものであることは疑う余地がないのである。

4,被告警備員による暴力

(1)被告は、本件裁判では原告に対し「押し出す方法」で退場させた、掴む、ねじり上げるなど暴力を行使していない、原告の負傷を悪化させる行為はしていないと主張する。

(2)原告は2004年の総会での排除の際、被告警備員がどのように相手を拘束するのか改めて目撃することができた。

(3)被告警備員がもっぱら用いたのは以下の方法であった。

@ 相手の脇の下に自分の腕を通す。
A その腕で自分のもう一方の腕を掴む。
B 相手の腕を自分の腕と体の間に挟み固定する。

(4)2004年総会に於いて原告が排除される際の写真甲第33号証、写真1によると

@ 右端の男が自分の左腕に自分の右手(白い手袋をはめているので、この手は原告の手ではなく、この男の手であることが分かる)を乗せていることが分かる。

A この男はこの方法により、原告の左腕を自分の右腕と体の間に挟んで固定しようとしているのである。

Bこれは相手の腕を自分の腕と体の間に挟んで固定する方法により、非常に強い力で拘束するものである。

(5)これは別訴上田裁判で被告が提出した乙第3号証に添付されている被告が雇い、原告等の暴力排除を実行した警備会社の「警備実施運用マニュアル」に「対象者の両側から両腕の下に腕を入れ」と記載されている方法だと考えられる。(甲号証として提出する)

(6)また別訴上田裁判において被告が提出した被告従業員の陳述書(別訴上田裁判乙5号証p3 甲号証として提出)によると、被告警備員が原告を退場させた後、疎外上田を退場させられた状況を以下のように述べている。これは上記(3)の主張を裏付けている。

 「上田株主はライジングサンの警備員の2人が右脇と左脇に腕を深く入れて,2人にかかえられるような格好で株主退場経路のドアから出てきました。」

@ すなわち被告の主張する「押し出す方法」ではなく、2人の警備員が別訴上田の「右脇と左脇に腕を深く入れ」る事によって上田の両腕を自分の体に固定し、身動きが取れないように強く拘束しているのである。

(7) この方法は被告の主張する「押し出す方法」とはほど遠いものである。

@ 「押し出す方法」であれば押された者の両手は自由であるはずであるが、この方法では両手は完全に拘束されており、被告が否定する「掴む」よりもさらに相手の両手の自由を奪っているのである。

A また「押し出す方法」であれば、押されたものが、自分からすすんで外に出ようとすれば、その自由は許されていると考えられるが、この方法はそれとは違い、拘束された者の自由は完全に奪われており、拘束した者からどこに連れて行かれようと抵抗できない、まさに逮捕拘禁された状態であり、2人の人間が協力して行う「羽交い締め」と呼んでもよいほどの拘束である。 

B さらに、拘束された者が抵抗した場合、警備員等はこの姿勢のまま非拘束者を「持ち上げる」方向に力を加えることで抵抗を封じるのである。これはまさに「ねじり上げる」事以外の何物でもないのである。

(8)被告警備員は本件においても原告を拘束するためにこの方法を行使したとしか考えられない。

(9)原告は医師より、日常生活の動作においてさえも、急に患部に力がかかることを避けるよう指導されていた。だからこそ診断書を持参し、それを示して暴力を振るわないよう訴えたのである。

(10)実際に被告警備員の暴力排除の際、原告は、少なくとも2度、肩の痛みの為に一瞬息ができなかったことを記憶している。

(11)以上、これらは被告警備員の行為により原告の患部に非常に強い力が作用し、負傷を悪化せしめたことを明確に裏付けるものである。

第3 湯布院贈賄事件について。

1,(1)原告が入手した本件判決文は事件が実行犯の個人的犯罪であるとして書かれている。しかし、本事件の供述調書によれば、以下に示す如く、被告沖電気は

@ 公共事業入札において「営業」と称して同業他社との談合行為を常習とし、

A 談合行為を成功させるために「仲介業者」に工事受注額の3パーセントもの「成功報酬」を支払い、

B その金の一部が町長などに対する賄賂として使われることを認識していた。

(2) 大分検察庁は、これら事実を知ったのであるから被告をはじめとして、関連会社を談合の刑事被告として起訴すべきであるのに原告は未だその事実は認識していない。

(3) もし何らかの理由で検察庁自らが行動を起こさないのであれば、原告が社会正義の観点から刑事告発することも検討せざるを得ない。

(4) 本裁判では、被告が差別、人権侵害のみに止まらず、贈賄、談合という刑事犯罪まで行う違法な企業であることの証拠として示す。

(5)また、上記第2に示した、本年株主総会に於ける原告の質問が、事実に基づいた正当なものであり、被告の暴力排除が、その不祥事を指摘されたときの常套手段であることの証拠としても示す。

2、事件の経過

(1) 沖電気工業株式会社ネットワークシステムカンパニー公共システム事業センター統括マネージャ兼公共営業第2部長 有永 弘 と  沖電気九州支社副支社長 中島 繁 は共謀の上、平成12年11月27日ころ、大分県湯布院町が発注予定の無線放送施設設置工事の指名競争入札参加者として、沖電気工業株式会社九州支社を選定、指名するなどの有利かつ便宜な取り計らいしてもらいたい旨の請託を湯布院町長 吉村 格哉 に対して行い、その報酬として現金300万円を供与し、町長の同町が発注する土木建築工事等の指名競争入札における入札参加者の選定・指名等の職務に関する職務に関し賄賂を供与した。

(2) 2004年3月24日 大分地方裁判所刑事部は本件 平成15年(わ)第365号、第410号 について

@ 被告人有永及び中島は沖電気が前記工事を落札して、自己の営業成績を上げるため、被告人江藤に渡す金銭が賄賂として被告人吉村に渡されることを知りながら江藤に金銭を交付したものであり、江藤は沖電気に落札させることによって、自己の手数料を得ようとして、吉村に賄賂を供与したもので、いずれもその動機に酌むべき事情はない。
 として

A 有永 弘 と 中島 繁 に対し 懲役1年2月 執行猶予3年の有罪判決が出され、この判決は確定された。

(3)この為、被告沖電気は電気工事の営業につき、2004年6月24日から7月23日までの営業停止、その期間に処分に反する行為があると5年間の免許取り消しという非常に厳しい処分を監督官庁から受けた。 

3,被告の談合行為について。

(1) 大分県警による本贈賄事件被告、容疑者等に対する供述調書によると、以下に示すように、被告は公共事業の受注に関する「営業」と称して、いわゆる談合行為を少なくとも20年におよぶ長年に亘り同業他社と繰り返していたことが明らかである。

(2)例えば、被告会社九州支社に於いて公共事業に対する営業を行っていた 大谷正義 は(本贈賄事件裁判甲30号p11)(以下これら調書は必要に応じ証拠として提出する)

 そもそも私共電機業界の営業活動と言いますのは、全てという訳ではありませんが、談合ありきの営業活動を行うのです。
この談合ありきといいますのは、落札業者となる為の条件づくり、つまりは注業者側の意向を取り付けるか、否かということになるのですが、私自身、沖電気工業の営業に携わり約20数年という経験がありますし、平成11年4月1日付けの人事異動で公共営業課の課長に就任しましてから、指名業者間で行われる談合の担当者にもなっています。指名業者間で談合が行われます理由というのは、指名された各業者が正規どおりの入札を実施すると、入札予定価格を超えれば落札できませんし、かといって予定価格を下回れば業者にとっては利益が減少するのは当然です。利益面を考えず、工事を受注することのみを考えれば、入札予定価格を大きく下回ろうが関係ありませんが、採算が取れないと分かった工事を受注する馬鹿な業者は決してありません。

 と被告会社、電機業界で談合が日常的に行われていると供述している。

(3) また大谷の上司であり沖電気九州支社副社長 である 中島 繁 は (本贈賄事件裁判乙第46号証 p7)

 これについては悪いこととは分かっていますが、私たちの業界は談合をすることが多く、その設計図番が沖電気仕様となっているとすれば他の会社については、沖電気の営業努力を認め落札しようとはせず沖電気に落札を譲るのです。
全ての会社ではありませんが大手無線メーカーについては8社ありますが、そのうち6社については大体談合に応じてくれるのです。

   と、これも被告が談合を行っていると供述している。

(4) さらに中島より格上の  本社 沖電気工業株式会社ネットワークシステムカンパニー公共システム事業センター統括マネージャ兼公共営業第2部長 である 有永 弘 は(本贈賄事件裁判甲40号証 p37)

しかし3000万円以上の全ての工事の入札価格の決定において判定会議が開催されている訳ではなく、例えばネゴ、つまり談合していて当社の支社がチャンピオンになっている場合には、支社の担当者等から私か竹内に「これで行きますから。」等と入札金額の連絡があることもありますし、その時には金額が原価割れしていないことを確認して承知するのです。もちろんこの反対もあり、チャンピオンになれずに譲る場合には、その旨の報告があります。そしてこれは希なことですが、予定価格を掴んでいる場合でも、その価格ちょうどで入札することはありません。それは落札して契約しても、擬下記の承認が必要な物件もあり、その時議会から疑われないないよう、予定価格よりは若干低めで入札しているのです。

と、これも、談合を行いながら、地方自治体議会の議会からその事実を巧妙に隠蔽する方法についても供述している。

(5)本件湯布院町防災無線工事入札に関しても、上記大谷から

@  株式会社日立国際電気 中原茂美 (同 甲36号p6)

A 日本無線株式会社 永迫秀高 (同甲34 p8)

B  富士通株式会社  小山明 (同甲 33 p9)

C  東芝 くどん 義夫 (同甲19号p32)

  等に対し、それぞれ応札金額を「2億6000万以上でおねがいします。」などと電話で依頼した事実が、大谷、中島の供述、及び談合の相手となった上記 企業の社員の供述で明らかである。

(6)また被告は談合行為の成功報酬として「仲介業者」に受注額の3パーセントもの金を支払うことを慣例としているのである。
(有永供述 同甲38号証 p46p47 )
 

(7)本件については「仲介業者」江藤憲行被告が町長の友人であることから、「天の声」を得ようと画策を依頼したことに端を発している。

     この事に関し中島は(同乙第46号証p15)

 高額な営業支援に対する報酬の中には当然町長など指名業者の選定に影響力を有する町の関係者らに対する報酬も入っていると私たちも考えています。
 報酬が町関係者に渡った場合この報酬は賄賂となるわけですが、通常の場合は私たちの知らないところでこれらは行われるのです。
 それで私達としては賄賂を差し上げたのかもはっきりと知らないわけですから賄賂をやったのかと聞かれれば知らない、認識していないと自信を持って答えるわけです。
汚いやり方だと思われるかもしれませんが私たちの業界では良くこういう方法が用いられるのです。


A と被告沖電気は「仲介業者」に支払われる報酬から賄賂が支払われることを認識していながら責任を逃れるために「知らないことにする」という「汚いやり方」をしていると供述しているのである。

(8)また本件贈賄事件では、この「仲介業者」に受注額の5パーセントの金を払うことが被告会社の会議の中で決められおり、この成功報酬の一部が「仲介業者」を経て湯布院町長などに賄賂として渡る可能性が高いことを被告は十分認識しているのである。(同乙号証46号p27)

(9)被告は、会社として直接賄賂を自治体の長に送ることはしていなくても、談合を成功させるための仲介業者を経て「成功報酬」の中から金が渡ることは十分認識しているのである。

(10) 本件贈賄事件とこれまで被告が繰り返してきた行為との違いは、賄賂が受注工事の終了後「仲介業者」を経て「成功報酬」の中から渡されず、受注前の時点で「実行犯」が「立て替えた」金で渡されたというだけである。

4,被告人等の処分について。

(1)本件は、直接湯布院町長に渡った300万円を被告人有永が個人的に準備したとして、有永等が自らの営業成績を上げる為になされたものとし、被告沖電気の刑事責任が問われなかったと思われる。

(2)しかし、「営業成績を上げる」という程度の自らの「利益」の為に、個人的に300万円もの現金を苦労して調達し、贈賄という犯
 罪を犯してまですることは不合理であり、被告人有永は「営業をやっている社員に達成感を与えてやりたいために贈賄を決意した。」と供述している。(同乙第43号証 p2)

(3)実際には、賄賂に使われる可能性の高い「仲介業者」への成功報酬の支払いは、被告沖電気営業の慣例、指示で行われていたのであり、この決済は被告の経理で行われているところから、紛れもなく沖電気として不正を行っているのであり、本件はたまたま「実行犯」が賄賂を「立て替え」ざるを得ない状況が発生しただけである。

(4)被告沖電気は有永等被告人を解雇し、退職金も支払わなかったと主張している。

(5)この刑事被告人等は違法な談合、営業活動を慣例としてまで営業に公共事業を受注することを課している被告沖電気の被害者である。

(6) そして、この件もまた、被告の従業員の人権を軽視し、違法な業務を強いることにより発生した人権侵害の一つであると考えられるのである。

5,2004年株主総会における本件に関する被告の説明

(1)この件に関し、被告は収集通知などの書面では株主に一切報告をしなかった。

(2)2004年度株主総会において被告は株主からの書面による質問に答える形で。

@ この件は沖電気の社員が湯布院町長からの執拗な要求に抗しきれず贈賄を行ったものである。

A 沖電気はこの社員を解雇した。

B 関係者に減給などの処分を行った。

C 沖電気行動規範に則り、再発防止の教育を行う。

  という非常に簡単な説明のみを行った。B については、誰に減給がなされたかの説明すらなかった。

D 因みにこれらの説明に要した時間は1分30秒にすぎなかった。

(3) もちろん談合についての説明は一切なかった。

(4)原告は上記 第2、3,(4)に示したごとく質問をしたが同、(5)以下に示したように沖電気は回答を拒絶し、回答を求め続けたところ暴力による排除を受けたものである。(原告はこの時点では談合についての情報を得ていなかった)

6,沖電気の違法性

(1)この事件に関する沖電気の説明は、従業員が個人的に行ったもので沖電気には監督責任のみしか存在しないかのようなものであった。

(2)本件贈賄事件は上記3,に示した違法な談合の慣例の中から必然的に発生したものである。被告に責任があることは疑う余地がない。

(3)贈賄、談合ともに違法、犯罪行為であることは言うまでもない。

(4)株主総会でのこの件に関する説明を見れば明らかなように、被告は「実行犯」に罪を転嫁しており、反省の姿勢は全く見られない。

第4 被告の「第2準備書面」による主張に対する反論

1,  被告の主張はこれまでと同様、証拠と根拠を示して原告が明らかにした事実を、根拠無く否定しようとするもので、大半が反論の必要すら認めないものであるが、念の為に一部反論を行う。

2, 「第2 の2」について。

(1) 被告は原告が提出した株主総会の録音、反訳を証拠価値がないとし「録音していることを意識して事実に反する声を発した。」などと主張する。
     しかし被告はその第1準備書面(p3)において、甲1号証について、「原告が痛みを訴えている部分は皆無である」などと、本書証を根拠とした主張をしているのであり、上記主張と矛盾している。

(2)被告は甲第27号証についても証拠価値がないと主張する。しかし、原告は本書証を、東京都を相手とした当裁判所における別訴、平成15年(わ)第2805号においても同書証番号で提出している。

   都は、その準備書面1において、原告が2002年8月16日に警視庁三田警察署を訪れ、暴力団対策課新山係長と面会した事実を認めており、その際の録音である本書証についても否認していない。

   すなわち甲第27号証に証拠価値がないとの被告の主張には理由がないのである。

(3)「原告が被告株主総会において、正当な発言をし、復職を求めておらず、暴言を発していない」ことはいずれの証拠に基づいて証明されているのかとの求釈明について。

@ 言うまでもなく、被告株主総会での原告の発言を記録した、甲第1号証、甲第8号証、甲第9号証、甲第19号証、さらには新たに提出した甲第30号証によっても証明される。

A 被告は、原告が出席したすべての総会の状況をビデオで記録しているのであるから、これら原告の書証に限らず、「原告が暴言を発し」「復職を求めた」事実があるのなら、その証拠を示すべきであることはすでに指摘してきた。

B 被告はこれら証拠を示せず、反論できないため「意味不明」「認否不能」などと言い逃れをしているとしか考えられないのである。

(4)「原告のホームページ」について。

@ 「私の発言は基本的には毎回同じです。20年前から続いている職場での差別やいじめの実例を上げながら、これらは人道的にも許されないだけではなく、柔軟な発想に基づき、製品を開発しなければならない技術系企業としての健康な精神状態を保つための職場環境という観点からも好ましくないものだから改めなさい。また私に対する処置の非を謝罪し、解雇を撤回しなさいというものです。」
 という記載があることは認める。
 
A  また、この記載に於ける「私の解雇を撤回しなさい」という発言を被告株主総会で行っているかの如きの表現は誤りであることを認める。

B 実際には「私の解雇を撤回しなさい」という発言は18回に及ぶ被告株主総会への参加において一度も行っていないのである。

C これまで、主張したように原告は被告にその非を認めさせる具体的な方法として金銭解決などではなく、解雇を撤回させることによって、その非を社会に示すことを求めて来た。

D この記載の誤りは原告が解雇撤回闘争の「目的」と混同して記載したためである。 

E 原告はこのページを未だ削除していないが、これは原告にとっての負の証拠をも公判継続中に隠滅することを潔しとしないためである。

F  被告は被告第1準備書面において、原告のホームページに関し「目的事項から外れた事項について延々と発言する等によって総会時間が長くなることを『大成功』と自画自賛しているのである」(P5)と批判している。

G しかし、以下 本書面、第5、主張の補足3に示す様に、被告の議事運営は詰まるところ「総会を短時間で終わらせれられれば内容はどうでもよい」というものに他ならない。

H その違法な企てを阻止し、被告に反省を促し得たことは、被告の議事運営を正常なものに正すための行動として「成功」と表してしかるべきである。

(5)原告の行為は「商法が禁止する利益要求罪を構成する」について。

@  被告は懸命に事実を混同させようとし、誤導を試みる主張をしている。

A すなわち

@ 原告の解雇撤回闘争の目的が、復職し、被告会社において賃金を得ることであるかの如きの主張。

A 原告は株主総会においては解雇撤回を要求する発言を一切行っていないのに、行っているかの如き主張。

である。

B 被告は、原告が「『事実上』原告の解雇撤回を目的とした」などという表現を多用しているが、全く意味のない表現と言わざるを得ない。「事実」はこれまで原告が証明したとおりである。

B  原告が株主総会に於いて利益要求罪を構成する「利益」を要求しているとすれば上記 @ A のごとくの、復職して賃金を得ることを要求する発言を、違法な暴力等の威嚇を持って行う場合であると考えられる。

C しかし実際には

@ 原告の解雇撤回闘争の目的は被告の人権侵害を改めさせ、その非を認めさせることであり。

A 株主総会においては人権侵害の指摘を行い改善を求めているのであり、解雇を撤回しろなどという発言は一切行っておらず。

B 暴力を行使しているのは原告ではなく被告である。

D 商法が禁止する「利益要求罪」は、いわゆる総会屋対策として立法化されたものであって、不当に金品を脅し取ろうとすることを指していると解すべきであり、ここに於ける「利益」とは金品を指していると解すべきである。

E 株主が株主総会において企業の不正を正し、公正な経営を促すことも、広義には株主の「利益」と考えられる。しかし、もしこれを「利益要求罪」として否定するならば株主総会のシステム自体を否定することになる。

F 金銭を要求するが如き「利益」と不正を正そうとする行動とは明確に区別されなければならないことは言うまでもない。

G 原告は被告の主張する、解雇撤回闘争を「復職して賃金を得る」ためにおこなうような、また、株主総会出席して被告に金銭を要求するような人間でないことは、本裁判の意見陳述で明らかにした。すなわち

@ 被告会社は私を解雇した際、退職金を渡そうとしました。私は解雇を不当と認めたので、これを受取ることを拒絶し、法務局に供託しました。賃金も退職金も安い沖電気ですが、12年間働いた退職金は何十万円かはあったはずです。それから22年、会社が引取らなかったのならすでに法務局に没収されているでしょう。
   経済的利益、金銭が目的の行動ならそのような無駄なことはしません。
 
A 1987年、被告会社の指名解雇争議が和解するとき、争議団は私の事件の解決も会社に求めました。私は争議団から、会社は金銭解決なら応じると言っていると聞かされました。
  争議団は12億3千万円、平均1700万円の解決金を受け取りました。私は、金銭解決では会社が非を認めたことにはならないと考え、これを断りました。

B 私は本件事件に関連して、警察と公安委員会を提訴しています。その裁判の意見陳述の中で、私が経験した警察官の対応例として、私が現金を拾得した時のことを述べました。
  すなわち、私は1993年9月21日、50万円の現金と500万円の通帳を拾得し、すぐに、近くの八王子市めじろ台派出所に届けました。その結果、それらは落し主の手に戻りました。その時の拾得物預り書の写しは、今も手元にあります。(甲第10号証)会社が述べ立てるであろう私の人間像が、総会屋、ならずもののようなものであれば、このような行動はとらないのではないでしょうか。

(6)株主総会の採決について。

 被告は
  「特定の株主らが賛否を表示すれば賛否が決定する株主が必ず出席している。議長は、それらの株主の賛否を確認した上で出席株主全体の賛否を判断しているので、誤りはないのである。」
  などという主張を新たに始めた。この主張の真偽はともかくとして、被告は上記主張の事実を採決の際、参加株主に示したことなど一度もない。その他、インターネットによる投票等、被告が示す理由と同様、被告が単に挙手の多数のみを株主に示して採決を行っていることの不当性を否定する説明に全くなっていない。これら被告の主張は、被告が株主に対する説明責任を放棄していることの証左である。

(7)株主総会の開催日について。

@ これまで明らかにしたきたように原告は総会の開催日が「他の企業と一致しない」ことを提案したのではなく、いわゆる「株主総会集中日」に開かないことを提案したのである。被告はこのことを承知していながら未だにこれらを混同させようとする主張を繰り返している。

A 被告が示した神戸地裁の判例においても、「株主総会集中日」に総会を開催することは、同日に開催することで、極力株主の参加を少なくしようとする「特定の会社」と「意を通じ」たと解されなければならず、本判例においても被告の行為は違法と解されなければならない。

B これまで被告が主張してきた


@ 被告は意図的に「株主総会集中日」に開催しているのではない

A 株主総会集中日は結果的に発生するものであり、取締役会が集中日を決定するものではない。(被告第1準備書面 12p)

B 集中日というものが総会日時の決定前に決定しているのではない。(被告第1準備書面 15p)

などは、とうてい社会通念から容認される主張ではない。

(6)被告の人権侵害の実例について。

@ 被告甲第2号証で示した真喜志さん事件に関し「QCサークルは被告会社が主催するサークルではない」「納涼祭、運動会は組合の主催である」などと主張し、それを理由に債権者を排除したことがないなどと主張している。

A しかし現実にはQCサークルは被告が建前的に主張するような自主的な組織ではなく、納涼祭、運動会も建前は組合主催であっても実質的には会社によって運営されていることはいわば衆知の事実である。

B だからこそ、浦和地裁は主文において明確に、被告が「従業員をQCサークルに編成し、収益の向上を図っている」と指摘しているのである。(甲第2号証 p3 「3 QCサークルについて」)そして「債務者沖電気工業株式会社は債権者に対して、社内QCサークルからの排除、納涼祭、運動会、新年会、親睦会あらの排除等、一切の差別的取り扱いをしてはならない。」と命じているのである。

C その上で、「責務者会社に対する申し立てのうち、社内QCサークルからの排除という差別的取り扱いの禁止を求める部分及び『隔離され他の労働者との交流を絶たれた上、基盤図面に記載された電子部品の色塗りによる単純識別作業を主とする現在の作業内容』(中略)疎明があったと言ってよいと考える。」

 と差別の事実を明確に認めているのである。(同p4)

D 乙第2号証の和解条項においても、なんらこれら事実と矛盾する部分はない。

第5 主張の補足

1,被告の人権侵害について。

(1) 被告は被告第2準備書面の中で、原告準備書面により原告が指摘した、被告の人権侵害の例についてその事実を認めた。すなわち。

@ 1981年 沖電気争議団代表中山森夫氏の妻洋子さん、沖電気争議を支援していた浅利さんが、仕事を取り上げられた事など差別を受けたことを理由に沖電気を労働委員会に提訴した。

A 1993年 指名解雇争議の和解により職場に戻った秦さんがリフレッシュ休暇を与えられないなどの差別を受けたとして沖電気を東京地裁に提訴した。

これらは上記第4 2,(6)により証明したところの

B 浦和地裁による仮処分決定の出された真喜志さん差別事件

  とあわせ被告に差別が存在することの例である。

(2)被告は各事件が10年以上以前のことであるから、あるいは和解したことを理由に「差別が存在しなかった」などと主張するが、事実には時効などないし、和解したからという理由で指摘された差別の事実が消滅するわけでもない。

(3) 被告は3件もの人権侵害を理由とした提訴(原告の地位保全訴訟を含めれば4件)をうけており、「従業員から苦情を受けたことがない。」などとの被告の主張が全くの虚偽で有ることが明確になったのである。

(4) これら被告による「過去」の差別の証明は、原告が指摘し改善を求め続け、被告が否定し続けている、現在の差別もが事実であることを証明しているのである。

(5)原告は2004年株主総会においても例年のごとく現在の人権侵害について3点の指摘を行った

@  かっての指名解雇争議支援者、職場復帰者が未だに不当な差別を受けている。

A  この総会で原告に先立って発言した米田(まいた)徳治株主は被告会社の優秀な技術者でありながら、差別を受け、本年定年退職するまで(40年以上勤続)係長にすら昇級しなかった。

B 被告会社プロセス技術の有賀(あるが)氏は未だに仕事が全く与えられていない。
( 以上甲第30号証 番号4)

(6)しかし、社長篠塚はこれも例年のごとく「個別の問題には答えない」として答弁を拒否したのである。( 甲第30号証 番号11)

   被告は、原告が指摘することが事実であるから反論も答弁もできないのである。

2、原告の支援者について。

(1)被告は原告が、支援者とともに、ありもしない人権侵害の話を言いがかりにして沖電気の株主総会を混乱させている、ならず者の集団であるかのような主張をしている。

(2)甲第28号証については松野氏の活動を示す新聞記事である。甲第29号証は松野氏の設立したチマチョゴリ友の会に関する雑誌の記事である。これらの証拠により松野氏は

@ いじめホットラインを設立し、学校や職場でのいじめに関する苦情を市民、弁護士などの協力を得ながら電話で受付け、その改善の為に努力されている。

A またチマチョゴリ友の会を設立し、韓国、朝鮮人に対する差別を軽減するために、在日のこれらの人々と日本人が交流し、相互の理解を深めるための活動を続けられ、大きな効果を上げている。


 
  ことが明らかになるのである。

(3) このように、被告は原告の支援者を株主総会を混乱させる、あたかも、ならず者の集団であるかのような主張をしているが、実際には松野氏のみならず、その多くが、人権の侵害など社会の不正と何らかの形で向き合い、その改善の為に努力されている人物なのである。

(4) 原告の支援者各自はそれぞれの観点から原告の行動に賛同され、株主として沖電気の株主総会に出席することで、今も続く沖電気の人権侵害を改めさせようとしておられるのである。
 
(5) そして被告こそが、人権の侵害のみならず 、贈賄、談合という犯罪まで犯す企業であり、それらの事実を株主総会で指摘されると、答弁を拒否し株主を暴力で排除する違法な企業なのである。

3, 1999年の被告株主総会についての被告の反論。

(1) すでに原告準備書面(1)で詳細に主張したように(p10〜12)、1999年の被告株主総会で原告は本件と全く同じ内容の発言を行ったのにかかわらず、被告はその発言内容を否定することなく、あろう事か礼まで述べたという重大な事実がある。

(2) この件に於ける原告の発言と、本件を含め他の年度との相違は、被告が人権侵害等を改善することを期待する旨を述べるに止め、その場で被告の回答を求めなかっただけであり、人権侵害の指摘、株主総会に於ける議事運営の不当性など、例年と同様の指摘を行った。

(3) にもかかわらず被告は、「是非貴重なご意見として承らせて頂きます」などと答弁し原告に対し礼まで述べたのである。

(4) これは、被告は、株主から人権侵害の事実を認めるなど、答えたくない回答を求められず、追求されなければそれでよしとしている。またそのことによって株主総会が短時間で終了すればそれでよしとしているとしか考えられない事実である。

(5) 被告の主張のすべてを根幹から否定する意味を持つこの件に関し、未だに被告の反論が全くないという事実は、被告には反論の方法が無く、被告の主張すべてに理由が無いことを裏付けるものであると言わざるを得ないのである。

第6 検証申出に対する意見

1,被告による検証申出について

(1) 本件審理について、被告が株主総会の状況を撮影したビデオの証拠調を申出たことそれ自体は、本件事案の真実解明に資するものであって、肯定的に評価できると考える。

(2) ただし、被告の申出の理由等については、極めて不当であって、原告は強くこれに抗議するものである。

(3) 被告は、原告がこれを公けにする可能性を云々し、実質上これを防ぐことを理由として検証を申出た等となすものの如くである。 そしてその際、株主のプライバシーを云々しているが、一方的撮影行為を行っている被告会社が理由としてそれを言うのは失当である。

(4) その証拠調べの形式は、検証であっても、被告提出の証拠であっても、いずれであっても原告には異論はない。
   ただしかし、いずれにせよ、被告に複製が入手できないというような、民事訴訟の運用原則に反する方法はとられるべきではない。反対当事者として原告が、このビデオテープについて仔細に検討することの出来る機会を保障されるべきは当然である。

2,結論

(1) 被告の検証申出については、本件審理の進捗という点から、原告も異存はないが、申出の理由には異論があり、その撤回を求める。

(2) 検証対象物について、当然ながら、原告がこれを謄写(複製の作成)する権利の確認を前提として、検証が行われることを要求する。

(3) なお、原告としては本件ビデオテープが証拠調されること自体については、敢えてこれに反対するものではない。
   従って、検証という方法によらずとも、当事者である被告によって乙号証として、通常の方法によって提出されるならば、それで可と考えるものである。

第7 結語

 以上、差別、人権侵害のみならず、贈賄、談合という犯罪まで犯し、株主総会では不祥事を追及されると答弁を拒否し、その質問が「目的事項」であろうがなかろうが、株主を暴力で排除する被告の不当性が明らかになったのである。

   以上