平成18年(ネ)第3711号
原 告 田 中 哲 朗
被告 沖電気工業株式会社
控 訴 理 由 書
2006年8月19日
東 京 高 等 裁 判 所
第 11 民 事 部
御 中
原 告 田中哲朗
1,始めに
(1)原判決は、原告が証拠を示して立証した本裁判の重要な事実に対する判断をことごとく回避した不当なものであり、取り消されるべきである。
(2)原告は、裁判官の被告に偏った訴訟指揮の内容から、被告に都合の悪い判断を回避した判決が出されるのではないかと予測し、2005年 8月4日付け陳述書においてあらかじめ指摘、警告した。
しかし、裁判官は臆面もなく、重要な判断を多数回避した不当な判決を下したのである。これは、国民に対する侮辱行為だけではなく日本の司法制度を辱めるものと言わざるを得ない。
2,裁判所の判断及び、原告があらかじめ判断を回避しないように求めた内容。
(1) 原判決は被告の主張を根拠を示さずに採用し、株主総会で討議、採決される内容は招集通知に記載されている「目的事項」だけとする被告に都合の良い解釈をしている。
しかし、実際には招集通知に記載されていないことに付いても被告は答弁や裁決を行ってきたのであり、その例が1999年の株主総会である。
被告は目的事項ではないから答弁や採決をしないのではなく、都合の悪いことにはそれらをしないのであり、それが違法であることは疑いがなく原判決はこの事実から目を背けているのである。
また原告が商法232条ノ2の要件を満たす手続を踏んだと認めるに足りる証拠はないから,原告 に採決を求める権利なかった旨の判断をしているが、商法232条ノ2は企業が招集通知にその株主総会の目的事項を記載する義務を示したものであり、株主の質問の範囲を制限するものではない。
(2)原告があらかじめ判断を回避しないように求めた内容は以下のとおりであり、いずれも判決を下すにあたり判断が不可欠の内容である。
@ 被告の株主総会が株主総会集中日にあたる事が意図的なものではないという議長の答弁が本当か嘘か。
A 原告がその答弁に納得せず裁決を求め続けた事に、理由の説明すらせずに排除することが妥当かどうか。裁決をしないのであれば、少なくとも排除する前にその理由を述べるべきではなかったのか。
B 被告警備員が原告を「押し出す方法で」排除したとの主張は事実か。
C 「原告が自らの解雇撤回を求める為に総会に出席し、総会を意図的に混乱させている。」とする被告の主張は事実かどうか。
D 1999年の被告株主総会の際の議長は、原告の発言に感謝の意すら表明しており、これは被告主張を根底から覆す意味を持っていると原告は主張したが、これをどう判断するか。
E 原告が指摘して来た被告職場での人権侵害の具体例は根拠のないものであるかどうか。
F 被告は談合を行ったかどうか。
(3) ところが原判決が判断を示したのはかろうじてBのみであり、他は一切判断をしていない。従って裁判官はこれらの項目について原告が主張する内容が事実と判断したとしか考えられない。被告にとって都合の悪いこれらの事実の判断を示すことを嫌い、回避したのである。従って裁判所が認識したと考えられる事実は
@ 被告の株主総会が株主総会集中日にあたる事が意図的なものではないという議長の答弁は嘘である。
A 原告がその答弁に納得せず裁決を求め続けた事に、理由の説明すらせずに排除することは不当であり、裁決をしないのであれば、少なくともその理由を述べるべきであった。
C 「原告が自らの解雇撤回を求める為に総会に出席し、総会を意図的に混乱させている。」とする被告の主張は事実ではない。
D 1999年の被告株主総会の際の議長が、原告の発言に感謝の意すら表明したことは被告主張を根底から覆す意味を持っている。
E 被告職場には人権侵害が存在する。
F 被告は談合を行った。
(4) 原判決は、以下のように商法からも社会的通念からも逸脱した判断を下しているのである。すなわち。
@ 被告は原告の質問に対し嘘の答弁を行い、A 嘘の答弁に納得しない原告が他の株主の判断を仰ぐため裁決を求めた際、裁決をとらないのであれば少なくともその理由を述べるべきであったにもかかわらず理由さえ述べなかった。
C「原告が自らの解雇撤回を求める為に総会に出席し、総会を意図的に混乱させている。」とする被告の主張は事実ではなくそのことは D 議長が、原告の発言に感謝の意すら表明したことからも分かる。
E 原告が株主総会で指摘してきた被告職場での人権侵害は事実であり、F また被告は談合という犯罪行為を行った。
しかし商法に規定された議長の議事運営権は絶対であるので、退場命令が出された株主は、その会社の営業行為や株主総会議事運営の内容がいかに反社会的、理不尽なものであっても従わなくてはならない。
3 結語
(1) 原判決は、議長の議事運営権のみを不当に絶対視し、株主の質問権、基本的人権などを一切無視した、被告に偏ったものであり、このような判断の元では、株主総会に株主が参加する意味が無くなり、株主総会が形骸化している現状を加速させるものである。
(2)また裁判所が、被告の人権侵害や談合という違法行為、さらには裁判においての虚偽の主張をすることまでも看過し、かえってそれを擁護するかの姿勢を示すことは国民の裁判所に対する信頼を損なうものと言わざるを得ない。
(3)さらに、裁判員制度が導入され、分かりやすい裁判が国民から求められている現状において、多くの判断を回避した原判決は、裁判所の説明責任を放棄したものであり、時流に反するものと言わざるを得ない。
(4)高等裁判所においては原判決を取り消すと共に、原判決が回避した判断を行うことを再度望むものである。
以上