平成15年(ワ)第2805号
 原 告 田 中  哲 朗
被 告 東   京   都

準   備   書   面  ( 原告T )

2004年5月27日

東 京 地 方 裁 判 所
八  王  子  支  部
  民 事 第 四 部
御 中

被告東京都の主張(「準備書面(1)」記載)に対して、以下のとおり認否反論等を行う。

原告訴訟代理人

弁護士  大 口  昭 彦

T 被告の主張、およびその問題性・誤謬性

1 被告の主張は、すべての国民に対し公平であるべき警察及び公安委員会が、本件事案についての別訴(御庁民事第三部係属)の被告であるところの、沖電気工業株式会社
(以後「別訴被告会社」「別訴被告」「沖電気」とも言う)の立場に偏した、と言うより、むしろ別訴被告会社の主張そのものと見られるほどに、同社に密着した、著しく不公平・不公正なものであると言わざるをえない。(それはまた、本件事案そのものに於ける
三田警察署員の別訴被告会社との密着性の、当然の反映でもあるのである。)

2 まず、「1 事実の経緯」に於ける主張からして、真実を枉げ、著しく別訴被告に偏 り、不当にこれを擁護する内容となっている。
以下に、逐一検討する。

3 「(1)本件株主総会における三田署員の活動状況等」関係

   本件別訴被告会社の、株主総会の冒頭の状況に関する被告の主張は、客観的事実に反する全くの虚偽であり、その著しい偏見・偏向性を裏付けている。

(1) すなわち被告は
    「開会直前、原告と原告に同調する者以下「同調者という。)が、議長に対して、 沖電気に差別問題があるなどと一方的に捲し立てたことから、定刻に開会されな かった。」
などと主張している。(第2・1・(1)・ウ)

 @ だが、この状況を録音したテープの反訳(甲第19号証)を検証すると、本総会の冒頭に於いては、松野株主が、「始まる前に一言お願いします。」と断った上で、以下の要求をしている。

@ 前年(2001年度)の沖電気の株主総会で、まだ9名もの株主が発言を求め て挙手をしていた。
A にもかかわらず沖電気は、社員株主の議事打切動議を受けて、議事を打切った。
B 原告がその議事打ち切りに抗議した。
C 沖電気は原告を暴力で排除した。
D 今年は暴力で排除することをしないで欲しい。

A これに対し、別訴被告会社は

   @ 不規則発言をやめろ。 
   A 退場させる。

  と、繰り返しているだけで、「議事に暴力を用いるな。」という、会議に臨む者としての当然の要求に、全く応える回答をしていない。

B 原告は別訴被告の不誠実な対応を見て、

@ 暴力で、発言する権利のある人を発言させないようにするのは、おかしい。
A 株主総会は議論の場であり、暴力を行使する場ではない。
B 力ずくで人を出すようなことは、やめてほしい。

  と要求している。

 C この際、別訴被告警備員数名が原告の周囲に集まり、原告を排除する姿勢を示した。
 
 D ここには、被告が主張するところの「差別問題」など、一言も出てきていない。

 E 松野株主の発言は、「議事の基本的前提として暴力を用いるな」という、いわば議事運営に関する至極当然の動議提案である。
    原告は、これに答えない別訴被告の不誠実な対応に注意を促したのである。

 F  ところで、このように、原告と松野株主は「議事の中で暴力を行使するな」と要求しているのであり、警察官であれば、暴力を起きないようにすることが自身の職務であるのだから、「暴力を行使するな。云々」という発言があれば、当然そのことに関心を払い、内容を記憶するであろう。にもかかわらず、被告は、「原告が『差別問題』という全く別の趣旨について『まくし立てた。』」などと主張しているのである。


    テープ録音という客観的記録にも、全く背馳しているところの、このような虚偽主張は、沖電気から「田中は、差別問題について捲し立てる。」と聞かされたであろう被告の、原告に対する人間像による偏見からなされた以外のなにものでもない。

G この期に及んでの、被告のこの偏った姿勢には暗澹たる気持にさせられてしまう。

H また、この「あるなどと」「捲し立てた」なる悪意に満ちた表現からは、被告が
       「沖電気に差別問題などは、無い」
   という前提に立っていることが、窺われる。
   しかし被告は後述する2002年8月16日の時点において原告より甲第20号証により、沖電気における差別人権侵害の存在を根拠を示して指摘を受けている。本裁判に至ってもなおこのような認識を敢えて述べている根拠を釈明されたい。
  

(2) また被告は、
     「原告と『同調者』が不規則発言を繰り返した、野次を飛ばした、あるいは
     目的事項に沿わない発言を繰り返した」
  などと、その具体的内容に全く触れることなく、かつ根拠を示さずに主張する。

 @ しかし、これも事実に反している。すなわち、原告の発言、および原告が不当に強制排除される経過・状況を記録したところの、甲第1号証の2によると、以下のことが証明される。

@ 原告は、具体的な例を挙げて、「被告会社における職場の人権侵害」を指摘する発言を行った。                    (番号2 〜28)
A 原告は、「株主総会に於いて、株主に敵対する議事運営が行われている」ことの指摘を行った。                (番号32〜40)
B 原告は、「株主総会の集中日に総会を開くべきではない」という発言を行った。
                         (番号52)
C 上記原告の発言中に、会社は原告のマイクの電源を切った。 (番号60〜62)
D 原告は、「採決を取る際、単純多数決ではなく、持株数を確認する」ことを求めた。                       (番号72)
E 原告は、「総会の招集通知を現在より早い時期に出すこと、議事録の閲覧の際コピーを認める」ことを求める発言を行った。          (番号76)
F 社長篠塚は、「計算書類、監査などの手続により株主総会の期日が決まるのであり、意図的に株主総会集中日を選んでいるのではない。」という、明らかに嘘の答弁を行った。                       (番号79)
G 社長篠塚は、「招集通知を早期に出すつもりのない」こと、「議事録のコピーを認めるつもりのない」ことの答弁を行った。         (番号81,83,85)
H 社長篠塚が採決を取らなかったので、原告は採決を求め、「取らないのであればその理由を述べるよう」求めた。              (番号86〜)
I 社長篠塚は、「採決を取る必要はない。」と述べるのみで、その理由の説明はしなかった。                        (番号87〜)
I@ 「納得がいかない。」とする原告に対し、社長篠塚は退場を命じた。
                           (番号111)
IA 社長の命令により、警備員が原告に対し暴力排除を始めたので、原告は整形外科医の診断書を示し、「暴力を振るわないこと」を求めた。   (番号117)
IB 原告は、「警察官が臨席しているのであれば、この暴力を止めるよう。」求める発声を行った。                      (番号123)
IC 警備員は暴力を続け、原告の腕をねじり上げた。それを目撃した株主の一人は警備員に抗議した。警備員は原告を会場から解除した。  (番号126,128,130)

 被告は原告からの株主として当然の、かつ理路整然とした発言を「目的事項に沿わない発言を繰り返した」と別訴被告の裁判書面の中での主張と全く同じ主張をしているのである。

A そもそも、株主総会の警戒を依頼されただけであって、株主でもない被告が当該株主総会での目的事項が何であるかわかろう筈もなく、それにもかかわらず、原告発言が目的事項に沿わない等と主張することは、被告が沖電気の私設ガードマンであるかのような認識の元に株主総会に臨んでいたことを強く示唆するものである。沖電気の私設ガードマンとの認識であるが故に、原告の行為にのみ注目する余り、沖電気の暴力行為を看過し、その職務上の不法行為に至ったのである。

B 被告は、当日が「株主総会集中日」であるからという理由で、警官が掛け持ちで他社の総会の回らなければならなかったとの主張をしている。(甲21号証)  被告は当日が「株主総会集中日」であると認識しているのである。
 にもかかわらず、議長の「意図的に集中日に総会を開いているのではない」という、明らかに嘘と分かる答弁(甲第1号証 番号79以下)の内容を具体的に示さず、これに対する原告の抗議、裁決の要求を不当なもの、目的事項に会わないものと主張している。

 嘘の答弁を行い、求められた裁決を拒否し、その理由をも述べない議長の不当な議事運営を正当化し、それに対し納得がいかないとする、株主として当然の原告の対応を「不規則発言を続けた」とするのである。
 明らかに、偏った主張と言わざるを得ない。
 
C また「おもむろに診断書を取り出して」という表現は、あたかも原告はゆっくりと診断書を取り出す余裕があったかのよう印象を与えるものであるが、実際にはすでに原告を拘束しようとする警備員との争いの中で、やっとの思いで取り出し、議長にそれを示すこともままならない状況であった。(甲1号証の2 番号117以下)(甲1号証の3 写真3,5)

D さらに「怪我をしているから手を離せ」と訴えたことをさして、「大声で騒ぎ立てた」とするのである。この認識は明らかに暴力の被害者を被害者とせず、かえって「議事妨害」の加害者のごとく言い換える、別訴被告に偏った立場によるものと言わざるを得ない。

E 一方被告警備員の行動については「原告の腕に手を添えたり原告の背中に手を当てるなどして」と極めて穏やかなものであったかのような表現を用いている。

@ 甲1号証の3の写真で明らかなように、別訴被告警備員は「手を添え」たり「手をあてる」ではなく掴むことによって原告を拘束している。
 写真3では原告は診断書を手にしながらもそれを示すことも出来ず、警備員に強い力を加えられていることを示す不自然な姿勢と苦痛の表情をしている。

A 写真2,4から警備員は明らかに抱きかかえる行動を取っており原告の体は単独では取り得ない傾斜した姿勢になっている。

B 原告は少なくとも8回に亘って「手をはなせ」と叫んでいる。(甲1号証2 番号118〜127)「手を添え」たり「手をあてる」ではあり得ないことは明白である。

F また原告が「そのうち、警備員に促されるようにその場から歩み始めた」と自分の意志で歩いて会場から出たとの主張をしているが、事実は「手を離せ」と叫び続ける原告を腕をねじり挙げるなどしながら乱暴に拘束して連れ出したのである。自分の意志で歩き「手を添え」たり「手をあて」られているだけの者が「手を離せ」と叫び続けることなどあり得ない。

G  また、この強制排除は、複数の株主が、被告警備員の行為を暴力であると指摘し、暴力を止めるように抗議し続ける中で行われている。株主の一人は警備員が原告の腕をねじり上げたことを目撃し2度に亘って抗議している。(甲1号証2 番号126,128)
警備員は原告に手を添えたのではなく「掴み」「ねじり上げた」ことが明らかである。

 さらに番号125の部分で原告は「怪我したぞ」と訴えている。(反訳漏れ)別訴被告警備員の暴力行為は明らかである。

H 警察官は至近距離でこの状況を目撃していたのにも拘わらず、「警備員に促されるようにその場から歩み始めた」などと警察官としてとうてい許されない虚偽の主張をするのである。

I もし、甲第1号証の写真の原告を社長に置き換え、警備員を一般株主に置き換えた状況が起きたならば、間違いなく警察官は暴力行為の現行犯でこの株主を逮捕するであろう。
 逮捕しないとすれば、警察官臨席に意味が全く無いのである。

J すなわち、同じことが起きても一方は看過し、他方は関係者を逮捕するという、極めて不公平な対応を公平であるべき警察官が取ったのである。

K このように会社の行動に関しては乱暴な行為をあたかも穏やかな行為であるかのように、原告の発言は正当な発言であるにも拘わらず「不規則発言」とする別訴被告に偏った主張をしているのである。

4 「新山警部補が原告と対応した状況」関係

(1)ここにも以下のとおり不公平な姿勢が見られる。

@ 被告が主張するように、原告は他の2人の男性と申入れを行おうとしたが、新山警部補に同席を断られた。
  沖電気の株主であることを告げ、黙ってその場にいるだけだと断っても同席を認めなかったのである。(甲第27号証の2 番号6~14)
 
A 市民が警察に申入れや問合わせを行う場合にそれが一人でしか認められないとすると、大変な緊張を強いられることになる。市民に対し不当なプレッシャーを与えるものと言わざるを得ない。

B また「原告が申入書と題する文書を取り出して読み上げ」に見られる表現は、原告があたかも殊更にことを荒立てようとの姿勢をとって新山警部補に接していたかのような印象を与えるものである。

@ しかし原告は終始穏やかに事情を説明し、答えを求めたものである。申入書を読む際にも、事情を説明するには読んだ方が良いのではないかと提案し、了承を得てから読み聞かせている。(同 番号28~32)
 
A 被告は「申入書の内容が一方的に原告の言い分を述べたものであるから書面での回答は出来ない。」と述べたと主張するが、新山警部補は、申入書の内容を知る前から「書面での回答をしない。」と述べている。(甲27号証番号27)
 新山警部補は後にも「警察は市民からの申し入れに一切書面で回答しない」との主張を繰り返したのである。(同 番号93,115,)
被告はここにおいても嘘をついているのである。

B この「申入書」(甲第20号証)には本件総会で起きた暴力行為の経緯、その背景が端的に述べられており、丁重に警察の見解を求めるものである。本来ならそれが事実であるかどうか調査確認することが警察の取るべき姿勢であるにも拘わらず、書面の回答はおろか、一旦は署長に見せることを了承しながらも、不当に態度を変え、その受け取りすら拒否しようとしたのである。(同 番号127~137,)調査して回答すると述べながらも、実際には全くそのつもりがなかったことの表れである。

C また新山警部補は担当警察官がその場にいなかったかもしれないと繰り返し述べ、正当な発言をする株主を会社が暴力排除する行為を警察官が看過することの是非を問う原告の質問(同 番号60~70)への回答を回避し続けている。(同 番号73,99,101~109)

D 後に至って「早合点」をしてこの「事実とちがう」ことを原告に述べ、責任を回避するのである。明らかに当初から警察官が現場にいないことにして責任を回避しようとしており、意図的なものと考えざるを得ない。

E 原告は「沖電気の行為について提訴するつもりであり、刑事事件の可能性もあるのだから刑事告訴も検討している。」と述べた。(同 番号120)
 さらに本来であるなら警察として独自に会社の行為は刑事事件となるか調査するべきではないかと正した。(同 番号122~124)
 それに対し、新山警部補は担当警察官に聞いて回答すると答えたのである。(同 番号125)

(2)被告は以上のとおり

@ 同行者の同席を拒み

A 書面での回答を拒み

B 申入書の受け取りさえ拒んだ。

C もし原告が申し入れ書を受け取らせることが出来ず、この甲第27号証の録音をしていなければ、この申し入れの内容がどのようなものであったか後には当事者の主張のみで、事実関係の証明すら出来ない、全くの無権利状態に置かれる危険があったのである。ここにも被告の原告に対する不誠実な姿勢が現れているのである。

5 その後の新山警部補の不誠実な対応

(1)その後原告は、再三に亘って三田警察署に電話をした。しかしいつ電話しても、「休暇」、や「席を外している。」などとの理由で、新山警部補から回答を得られなかった。原告はその都度電話を受けたものに、「回答を求めていることを伝えて欲しい。」と伝えている。これらの経過から本来であるならば職務として新山警部補の方から原告に連絡をし報告するべきであるのに一度もしなかった。
 この不誠実な対応は新山警部補が原告に報告することを意図的に避けていたとしか考えられない。

(2)8月27日にやっと回答を聞くことが出来たが、これも原告から電話をかけたものである。 この電話応対を記録した甲第21号証の内容を検証するならば

@ 新山警部補は原告が排除された際、警察官は他の会社の株主総会に出席するためにすでに現場にいなかったと述べた。

A また「申入書」は署長に見せたと答え、今後本件に関しては「課長」が対応すると答えた。

B 警官が事件の際臨席していなかったという答弁を信用できないと感じた原告は裁判を起こすことを示唆しながら警官は何人派遣されたのか尋ねた。

C 新山警部補は「そこまで調べていない」と答えた。

D 原告はとうていその回答は信じられないと追求したが新山警部補は「そこは信用してもらうしかない」と、この回答に固執した。

E 原告はその回答はとうてい信じられないから公安委員会に苦情の申し立てを行うと述べた。

(3)しかるにのちになって被告はこの回答を、「状況等について十分に把握しないまま 早合点をして申し上げたものでありました。」などと弁明し態度を変更するのである。

@ 警察署長あての申入書において、事件の重要性を指摘し

A 別訴被告会社を提訴する準備があると言われ

B 回答が信じられないから公安委員会に苦情の申立をするとまで言われている状  況で

「早合点」をして答えることなどあり得ない。 意図的に虚偽の回答を行ったのである。

(4)また被告は
「臨場警戒した孫田警部及び武田警部補以外の2名の警察官に尋ねたところ、両名とも、株主総会の途中で会場から出たので、原告が警備員に退場させられた状況は見ていないと答えたことから、本件株主総会では特異な状況は発生しておらず、4名の警察官とも他社の株主総会の警戒に転進したものと思い込み」
 と主張する。

@ 新山警部補は原告の質問に対しては臨場した警察官の人数を「そこまでは調べてはいない」と答えている。原告はすでに8月16日に警察官の人数について尋ねている。(甲第27号証番号42~44)

A 仮に、2名の警察官が「転進」したのが事実であったとしても、この2名は総会の冒頭の状況 すなわち、原告が「沖電気に差別問題があるなどと一方的に捲し立て」被告会社が退場の警告を出し、被告警備員が被告の周りに集まって排除する姿勢を示した状況を目撃していたことになるのだから「特異な状況が起きていない」などとと認識し新山に報告することはありえないはずである。

B 以上よりすれば「早合点」することなどはとうていあり得ないのは明白である。

 その後、新山警部補ら三田警察署関係者は、公安員会から調査を受けた後でさえも、原告に訂正、釈明の連絡さえしなかったのであるから、明らかに真摯な姿勢をとっておらず、意図的な虚偽回答をしたと言わざるを得ない。その姿勢が原告に対して敵対的なものであることは本被告書面によってさらに明らかになったのである。

7  「2 原告の主張に対する反論」について

(1)「三田署員が職務義務に違反した事実はない」について。

@ ここで被告は「原告に議長が退場を命じた行為は、商法237条の4第3項の規定に基づく適法なものである」と主張し、別訴被告も別訴裁判において全く同様の主張をしている。

A しかし被告らが言う如くにこの条文が本件のように、株主として当然の発言をしているだけの株主を暴力を行使して排除する権限までも、「権限を有する司法官憲」でもない一企業の長である議長に認めたものとするならば、この条文は下記憲法に反することになる。

@  憲法 第31条 法定手続の保障
 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

A  同 33条 逮捕に対する保障
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
 (逮捕=人の身体に直接に力を加えてその行動の自由を奪うこと。広辞苑)
 
B すなわち、商法237条は、議長に、正当な質問、発言をしているだけの株主を暴力で排除する権限まで与えているのではないと解さなければならない。

C もし、このようなことが認められるならば、不正経理や、会社の不祥事など会社に都合の悪いことを、指摘、追求する株主を議長命により排除して良いことになり、株主総会のシステムが形骸化してしまうのである。

B また別訴被告は、原告の行動が
   刑法第130条 住居侵入等
 「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」
 に該当しているとも主張している。

@  株主総会の招集通知を受け法的権利を行使するために総会の会場にいる株主がたとえ議長から退去命令を受けたからと言って「正当な理由がないのに、侵入した者」にはあたらないことは明白である。また、株主としての権利を行使するという「正当な理由」の為に退去しないことは上記刑法には該当しないことは明白である。

A  この様に、別訴被告は原告に対し、法律おいては、犯罪者が現に犯罪を犯しているときのみに処せられる処遇を、多くの株主すなわち公衆の面前で与えた。

B  またさらに良識を持った株主は、別訴被告の不当性に怒りを持つものもあるであろうが、状況を理解していないものや、悪意を持つ社員株主よって「原告は株主総会で企業から金品をおどしとろうとする総会屋のごとく振る舞い、暴言をはいたからたたき出された」と宣伝される可能性は高い。
 警察官がいてそれを黙認していた事実はこの宣伝の材料として使われうる。

C  このように別訴被告は原告の名誉を著しく侵害しているのであり、警察官の黙認は結果としてこれに加担している。

(2)別訴被告は原告を「暴力的に」退場させたことはないと主張している。

@  しかしこれは全くの虚偽である。

A  甲一号証の写真に示すように、被告警備員は

@  原告の意志に反して物理的力を加え続け、

A  原告の身体の自由を拘束し、(甲第1号証、録音の反訳 番号117)(同写真 2)

B  医師の診断書を示しながら怪我をしているから乱暴するなと訴える原告に、(甲第1号証、録音の反訳 番号117)(同写真5)

C  苦痛、及び傷害を与えている。(写真2,3)(甲 第1号証、録音の反訳 番号117)

B  これらは「暴力」を構成するに十分な要因である。

C  原告は同年11月まで甲3号証に示す整形外科医に通院を余儀なくされた。原告はすでに同医院に通院していたのであるから、本暴力行為がなかったとしても本総会後も一定期間は通院したであろうことは事実であるが、同医院の医師より治療の過程で決して患部に強い力を加えてはならない旨指導を受けていた。
   だからこそ、前年の株主総会で暴行を受けた原告は危険を予測し、医師の診断書を準備し、暴行をふるわないように求めたのである。
  原告は被告警備員により腕をねじり上げられた際、痛みにより一時左腕が動かせなくなった。(甲第1号証 録音の反訳 番号123〜128)

D  本暴力行為が治療の期間を長引かせたことは明白である。
 

8 「(3)公安委員会に任務懈怠の事実はない」について。

(1) 以上、警察官の取った行動は著しく別訴被告沖電気に密着しその擁護に偏ったところの、警察法・警察官職務執行法にも違背したものである。

  公安委員会はその異常な状況ないし不合理な経過を指摘されながら、重大な嘘をついたことを正当化した。

(2) ところで別訴被告は別訴裁判書面の中で「原告は不退去罪に該当し、臨席していた警察官に現行犯逮捕される行動を取っていたところ、別訴被告が強制退去させたから原告は逮捕を免れた」などと主張している。(被告第一準備書面 第1 2(1)@ オ)


@  この主張は重大である。なぜなら、この主張の意味するところは、 被告は別訴被告の意を受けて、別訴被告を追求し強制排除に抵抗する株主を逮捕するつもりだったと考えられるからである。

A これは、明らかに別訴被告に偏った姿勢であり、許されるものではない。

B 株主総会に臨場した警察官が著しく企業側に偏った姿勢を取るという重大な事実は「個々の事務執行の細部」ではとうていあり得ない。

C  本件は新山警部補個人が嘘をついただけではなく、少なくとも「課長」が拘わっており、署長名で「早合点」という理由にもならない弁明がなされ、何の釈明もされていない。個々の警察官の職務執行に止まらず、いわば組織的な事件と言わざるをえないのである。

U 株主総会における原告の発言について

 ところで被告は、原告が株主総会で「不規則発言」を繰り替えし議事を混乱させているものであるから、退場処分を受けて当然であると主張する。

 しかし、原告の別訴被告沖電気の職場における人権侵害を指摘し、是正を求める発言は、本件株主総会でもそれ以前の株主総会においても適切なものであった。
 別訴被告職場で違法な人権侵害が続いているとする、原告の指摘が事実であるからこそ、回答出来ない別訴被告の議事運営は暴力的なものとなっているのである。このことこそが違法なものである所以を以下に示す。

1 別訴被告職場における人権侵害の存在。

 被告は開会直前、原告と原告に同調する者似下「同調者という。)が、議長に対して、沖電気に「差別問題があるなどと」一方的に捲し立てたことから、定刻に開会されなかった。」との表現を用い、あたかも原告の別訴被告に対する差別、人権侵害の指摘が無根のものであるような主張をしている。以下これら人権侵害存在の根拠を示す。

(1)甲第2号証は別訴被告を人権侵害で提訴した例である。別訴被告はこの事件が後に和解したことを持って、人権侵害の事実を否定しようとするが、そもそも、提訴の事実、及び沖電気が和解解決せざるをえなかった事実にすべてが明らかなのである。

(2)原告の地位保全の裁判の中で、原告の他に 下出信夫 北野好人 新江隆 武原多恵子 が宣誓をした上で証言を行った。それぞれが別訴被告職場において自らが体験した、あるいは目撃した仕事の取り上げ、賃金差別、職場でのいじめ等、人権侵害の実態を生々しく証言した。

 また山崎勇 大宮正晴 大宮清秀 他 から同様の陳述書が提出された。

  この裁判の判決は原告に対する配転命令は有効であるからそれを拒否した原告に対する解雇は有効としたもので、それゆえ、別段、これら証人が証言したところの別訴被告職場に於ける差別の存在が否定されたものではない。

(3)原告は現在も続く差別の例を2以下に示すごとく別訴被告株主総会において極めて具体的に示して指摘した。

 これはら別訴被告の人権侵害のごく一部であることは言うまでもない。

2 原告の株主総会での発言の実態。

(1) 別訴被告は原告が、

@ 正当に解雇された者である
A 原告が復職することを意図して、復職を求める発言を毎回の総会において繰り返し発言している。
B 数名の株主らをそそのかしたうえ、原告の復職を求める発言を毎回の総会において繰り返し発言させている。
C 総会の目的事項外の質問や意見表明を執拗に発言している。
D 総会議場内で激しいヤジや暴言を大声で連発している。
E グループの株主らと離合集散を繰り返している。
F 定時総会の適正な進行を故意に妨害し、議場内の秩序及び運営を乱し続けている

 などとの主張を再三にわたって行っており。被告は不当にも一方的に、別訴被告のこの主張を正しいとした立場を取った主張をしている。

(2) 以下、この問題について論ずる。

@ については、本裁判で争うものではない。

A A以降の別訴被告の主張が、現実と全くかけ離れたものであることを、以下に示す。

@  その前に、たとえこれらが事実であったとしても、本件のごとく、正当な発言をしている株主を暴力排除することが正当化されるものでは無いことを指摘しておく。
 
A  甲第1、甲第8、甲第9号証はそれぞれ2002年。1999年、1998年の被告株主総会会場における原告の発言の反訳である。

 a このどれにおいても、原告は復職を求める発言を行っていない。

 b このどれにおいても、原告は暴言を行っていない。

 要するに別訴被告が暴言と主張することは議長の答弁が答弁の体をなしていない時、または理不尽な議事運営に原告が抗議したことを指していると推測される。

   以下これらの書証を検証する

 B  甲第9号証 1998年の総会

a 別訴被告は1998年の総会において原告の発言は質問の体をなしていなかったと主張している。

b 実際に原告の行った質問と議長の回答を甲第9号証により列記するならば

イ  一昨年までは社員株主が 「異議なし!」 などと叫ぶ威圧的な議事運営がなされてきた。昨年からそれがなくなったことは評価できる。
 しかし社員株主による「議事打ち切り動議」による議事終了は株主の権利を奪うものであり、好ましくないのでしないで欲しい。

澤村社長  回答なし。

ロ 今議長はマイクを使ってしゃべっている。私はマイクがないので声を張り上げている。株主の中には高齢者や病弱の人もいるかもしれないのだからマイクを用意して欲しいとこれまで要求してきた。なぜ用意できないのか。昨年も発言の最後に念を押した。今回は無いのか。

澤村社長  マイクの使用は認めていない。

ハ 今 日本の企業の中でリストラにともないいじめが起きていることがマスコミで報道されている。これらの人権侵害は社会全体にとっても悪い影響がある。また企業にとっても悪い影響がある。企業の中のいじめの問題に社長は関心を持っているか。企業の中のいじめの存在を認識しているか。

澤村社長   私がこの総会で答える問題ではない。

ニ  沖電気の首切り合理化以降、争議の支援者に、仕事の取り上げ、賃金差別が続いている。これらを改めるべきだと私はこれまで指摘してきた。これについて調査したか。

澤村社長 沖電気の中にはいじめや差別がございませんから調査していません。

ホ いじめの実例として1991年本庄工場の真喜志さんが仮処分の訴えを起こし、裁判所は差別を認める決定を出している。それを改めるように言っている。
 昨年から指摘している差別の具体例として、特許出願の資格である弁理士の資格を持つ者が20年間もまったく仕事が与えられていない。弁理士の資格を持つ者は沖電気全体でも一人か二人しかいない。特許が沖電気に取って非常に重要な仕事であることは疑う余地がない。この問題について昨年も指摘したが調査したか。

澤村社長 していない。

ヘ この45歳(弁理士)の賃金は基準内合計が25万円ほどで手取り18万円しかない。貯金もしてない。弁理士にこのような扱いをして、どうやって沖電気に優秀な人材を集めるのか。
 これは彼がインターネットで公開している自分に対する差別の実例の写真だ。(写真を示す)彼の机の上に段ボールが積み重ねてある。  

澤村  質問をまとめてもらえますか。

ト  机の上に大きな段ボールが2個置かれ仕事に使える状況ではない。これらの荷物は私のものではないと書かれている。さらに一週間後には段ボールが3つ追加されていた。こういう状況が15年も続いていると書いてある。これは事実か。

澤村  個々の問題はわからない。

c  このように、原告はきわめて具体的に別訴被告職場での差別の実態を指摘し、その回答を求めているのであるのに、 議長は。

イ   私がこの総会で答える問題ではない。
ロ   沖電気の中にはいじめや差別がないから調査していない。
ハ   個々の問題はわからない。

 としか答えていない。別訴被告は答弁書の中でこれをもって、「何れの質問に対しても被告は丁寧な回答を行ったものである。」と主張しているのである。

C 原告は17回にわたって別訴被告株主総会に出席し、職場の人権侵害の実態を指摘し答弁を求めてきたが、別訴被告の回答は以下の3つに要約できる。

a  被告職場には人権侵害が存在しない。(あるいは、あるはずがない)

b  個々の問題には答えない。

c  総会の議題ではないから答えない。(あるいは目的事項ではないから答えない)

 もちろん、aについては何の根拠も示したことはない。別訴被告はこれをもって「別訴被告は、その質問が人事または労務政策に亘るものについて答弁を尽くしてきているのであり」と主張するのである。

D  また、別訴被告はこの総会において、田中優紀株主の代理として出席していた松野株主が、「原告の歌」を会場を混乱させるために「暴挙に及」び流したかのように主張する。

a しかしこれは事実ではない。

b  別訴被告は株主が討議資料として印刷物を準備し、それを被告を含む総会出席者に配布することを申し入れても拒絶を繰り返してきた。(必要に応じ証拠を提出する)

c 松野株主は、この総会において別訴被告会社の人権侵害の実態を緩和する為、人権監査室を設置すべきとの提案を行い、その室長に原告を推薦した。原告の人権感覚を示す資料として、また、株主に対し、別訴被告会社のもつ人権問題に正しい認識を持つことを促すためにこの歌を株主に聴かせたのである。

d  大音響で流したと主張するが適切な音量であったことは言うまでもない。またその時間も2分ほどでしかなかった。

e  また、この発言を行った松野株主は いじめを苦にする人の悩みを電話相談ににより救済しようとする市民活動である「三多摩 学校・職場のいじめホットライン」を中心的に立ち上げ、献身的に活動されており、さらに、在日韓国朝鮮人に対する差別、人権侵害を改善したいとの思いから作られた友好団体「チマチョゴリ友の会」の創立者でありこちらも献身的に活動しておられる、人権問題に深い洞察を持った人物であることを付言する。(甲第28号証)

f  なお この歌「人らしく生きよう」は、原告が作詞作曲したものであり、労働者の人権を扱ったドキュメンタリー映画「人らしく生きよう」の主題歌として使われたもので、この映画は(この映画のタイトルは原告の歌から付けられた)全国200カ所で上映されただけではなく、アメリカ合衆国、韓国、フランス、トルコ、など、国際的にも上映が行われ、高い評価を得ている。(必要に応じ証拠を提出する)

(2) 次に甲第8号証により1999年の総会での状況を検証する。

 A  甲第8号証により証明されることは以下の通りである。

@ 原告は、本総会における発言で冷静、丁重、かつ論理的に企業のあるべき姿勢を説いている。別訴被告が主張するような暴言を一度たりとも行っていない。(甲第8号証番号6,8)

B 原告は、丁重を期するため原稿を用意している。 (同 番号6)

B 原告は、原告の解雇に関することは全く述べていない。

C  原告は、被告職場の人権侵害の存在を指摘している。またこれまでの総会でも指摘してきたと述べている。(同 番号4, 15

D  原告は、別訴被告株主総会で動員株主が「議事進行!」と叫ぶ、社員株主による議事打ち切り動議、など議事進行の不当性の存在を指摘している。(同 番号4,13)

D  この発言中に原告の発言を中断させようとした株主(社員株主と思われるが、その証拠はないので主張はしない)を、冷静にたしなめている。(同 番号10,11,13)

E  しかし、差別の状況、総会の不当な議事運営は以前に比べ不十分ながら改善の点が見られるとし、(同 番号4)

F  篠塚新社長にそれらの改善を期待すると述べている。(同 番号4, 15)

B  それに対し篠塚社長は

G  原告が指摘した、差別の存在や不当な議事運営が事実でないと思うなら、それを否定するであろうにもかかわらず、否定することなく

H  「是非貴重な御意見として承らせて頂きたいと思います。」「ご意見として参考にさせて頂きます。」と肯定的な答弁を行っており。(同 番号16,18)

I  「すべてお答え出来るかと言うことはあろうかと思いますが、」と少なくとも一部は原告の指摘する問題に対し改善の努力をするかのような発言を行い。(同 番号18)
 
J 「 一部過分におほめを頂きましてありがたいと思っております。」と礼まで述べているのである。(同 番号18)


 C よって本反訳によれば、別訴被告答弁書の主張は以下のように反論される。

@  原告は、この総会でも、原告の解雇を撤回を求める発言をまったく行っていない。暴言を吐くことも議事を混乱させることもしていない。

A  原告は一般株主の前で、別訴被告会社の職場に差別が存在していると指摘し、その改善を求め、社長の考えを述べることを求めているのであるから、差別の存在が事実で無いとすれば、原告の発言は別訴被告会社にとってゆゆしき問題であり、当然それ否定すべきであるにも拘わらず、社長は否定するどころか、「貴重な意見として」「参考にする」と述べ、「すべてお答え出来るかと言うことはあろうかと思いますが、」と、少なくとも一部は原告の指摘する問題に対し、改善の努力をするかのような発言を行ったのである。
 このことは別訴被告が、原告の指摘する差別の実態が別訴被告職場に存在することを認識しているからに他ならない。

B 原告は、これら差別問題の指摘をこれまでの別訴被告株主総会でも指摘してきたことを述べている。

   別訴被告が主張するように、それまでの原告の総会での主張、別訴被告職場での差別の存在の指摘が事実無根であり、原告の発言が総会を混乱させるためだけのものであったならば、議長はその指摘をするであろうにも拘わらず、それをしないばかりか「貴重な意見として」「参考にする」とのべたのである。別訴被告の主張が虚偽であることが伺い知れるのである。

C また、別訴被告は原告の行動が「業務妨害」であり損害を被っているから、損害賠償訴訟を起こす旨の主張を行っている。

@  原告の別訴被告会社に対する抗議行動は、この総会の時点と現在とは全く形態が変わっていない。現在損害を被っていると主張するならば、この時点ですでに、損害を被っていたはずである。
   損害賠償請求を起こすほどの損害を被っているのであれば、社長は業務妨害に対する苦情を述べるはずであるのに、それをしないばかりか礼まで述べたことは、被告に損害を被っているとの認識が無いことに他ならない。
 
A  この年原告は社長が交代したことを期に、頑なな別訴被告の態度を改めさせるため、それまでの総会とは異なり、別訴被告の問題点を指摘し、議長の感想を求めるにとどめ、明確な回答を求めず、猶予を与える発言の形態を取った。他年度と異なる点はその場での明確な回答を求めなかっただけで、指摘している内容は同じであるのに、議長は上記のごとくそれまでとは全く異なる対応を取っている。

B  そして、その場では、原告の指摘にあたかも、改善の努力をするかのごとき答弁を行いながら、実際には改善はまったく無く原告は翌年の総会で追求せざるを得なくなった。
  それに対し被告は暴力を持って原告を排除するにいたったのである。

C  このことは、如何に別訴被告の対応がその場逃れで、その年の総会を早く終わらせられればそれで良いという、欺瞞的なものであるかを示している。

V 原告の活動「解雇撤回闘争」及び人間性について。

1 別訴被告は、原告が自らの解雇を撤回させる為に株主総会に出席しそれをを目的とした不規則発言を繰り返すことで総会を混乱させていると主張し、原告、をあたかも金銭を企業から脅し取ろうとするいわゆる「総会屋」のごときならず者として描き出そうとしている。 被告もその書面の悪意に満ちた表現からすれば別訴被告のこの主張を一方的に踏襲していると考えられる。

2 原告は、その活動においては、別訴被告の非を認めさせるために解雇撤回を要求しているが、そのことと、株主総会でそれを求める行動を取っているかどうかは、全く別のことである。
これまで証明したように原告は別訴被告の職場の差別、人権侵害を指摘し是正を求めているのであり、自身の復職を求める発言を行っていない。

3 原告の活動が被告及び別訴被告が描き出そうとしている様な金銭を得ること、自身の利益の為ではないことを以下に示す。

(1)甲第10号証は 原告が50万円もの現金と500万円入りの通帳を拾得し、すぐに警察に届けたことを示すものである。
 金品が目的で活動している「総会屋」のような人間であれば、このような拾得物を届けることは考えられないのである。

(2)別訴被告会社は原告を解雇した際、退職金を渡そうとした。原告は解雇を不当と認めたので、これを受取ることを拒絶した。12年間働いた退職金は何十万円かはあったはずである。それから22年、会社が引取らなかったのならすでに法務局に没収されているであろう。
   経済的利益、金銭が目的の行動を行う者であるなら、そのような無駄なことをする者はいない。
 
(3) 1987年、別訴被告の指名解雇争議が和解する際、争議団は原告の事件の解決も会社に求めた。原告は争議団から、会社は金銭解決なら応じると言っていると聞かされた。
 争議団は12億3千万円、平均1700万円の解決金を受け取ったが、原告は、金銭解決では会社が非を認めたことにはならないと考え、これを断った。

2 原告の活動


(1)社前での祈りと訴え


@  原告は被告会社八王子工場門前において、毎朝、仏教徒として、世界の平和、被告会社の中での人権侵害が緩和されること、また原告が解雇された後に死亡した歴代の被告会社の社長、三宅正男、神宮司順、橋本南美男、また沖電気の事故、自殺などで死亡した従業員の冥福を祈っている。

A そして、沖電気で起きた事件を元に作った詞や、人権に関わる社会問題を指摘した詞を歌にして歌っている。

B  また 拡声器を通じて被告職場の従業員に差別やいじめのない職場を取り戻そう、悪いことは悪いと言う勇気を取り戻そうと訴えている。

(2)毎月の座り込み

@ また、八王子工場門前で毎月29日に行っている「座り込み行動」は1982年1月29日より連続して行っている。当初10年以上は一滴の水も食事も口にせず、極寒の冬も、灼熱の夏も10時間以上に渡り、その場においてすわっている「断食闘争」をおこなった。自らが長時間苦痛に耐えることにより、原告の真摯な思いを別訴被告に伝え反省を促し、社会に訴える「ハンガーストライキ」に相当するものであった。

A  現在は時間を約半分に短縮して行っている。またその場での時間を利用し、「悩み事相談」を行い、また隣接する小学校の生徒を対象とし「差別やいじめをやめさせる勇気を持とう」と印刷された風船を配布しながら、人権に関する子供らの教育にもあたっている。(甲第17,18号証) これら原告の行動は社会的に評価が高まり、座り込みには、自らが悩みを持つ人だけではなく、原告の行動に共感する人が訪れ、交流を行っている。

B  その中には自由民主党前政調会長亀井静香氏の姿もあった。(甲第12号証)

(3)講演活動

@  また現代日本には、被告会社と類似した人権侵害が多くの企業に存在している現実が存するが、そのことの持つ社会的問題性を指摘する講演活動を行っている。この活動は広く支持され、講演依頼は労働組合、平和・人権問題を活動の目的とした市民団体からのみならず、公立学校、市教育委員会に亘り、その範囲は国内全域に及んでいる。 (甲第14,15,16号証)

(4) これら原告の行動は新聞、書籍、テレビなどで好意的に報道されている。
(甲第11号証)
 これらを示す新聞記事の一部を証拠として示す。(甲第13,14,号証)

この他に原告を好意的に取り上げた書籍の一部を以下に示す。

2001年10月 ダイヤモンド社 鎌田慧著 
 忘れてはいけないことがあるpTーV

2000年5月号講談社「現代」斎藤貴男著 
 「労働組合」よ。既得権捨て市場主義と闘えp191

1998年10月 海風書房 大原猛著 
「下町の神父」p256−257

1995年6月 日本エディタースクール出版部 山口泉著 
 「テレビと闘う」p47−50

1994年 9月24日号 ダイヤモンド社 週間ダイヤモンド 野田正彰著 
「ミドルの履歴書」p80ー83 

1994年 4月 講談社 佐高信著 
 「人生のうた」p47−49

W 求釈明

1 被告は「総会集中日」を認識しており、だから当日警官の一部が他社の総会に転進したと主張している。ところが別訴被告は少なくとも20年以上に亘って集中日に総会を行いながらその事実を認めておらず、議長は集中日に総会を意図的に開いていないと答弁した。この答弁に納得しない原告が採決を求め排除された事件が本件である。
この答弁を議長として適切なものと認識するのか。

2 被告は警察官が臨場警戒したのは沖電気から警備要請があったとの一事によるものではないと主張する。他の理由とは何か。

3 警察官は同時刻に行われる他社の株主総会に「転進」が可能なのか。

4 被告の主張する「同調者」とは何か。批判的な発言や総会の運営に抗議したものがすべて原告の関係者とするのであればその根拠は何か。
  

5 新山警部補が原告にのべた「警察は市民の問い合わせに書面での回答は一切しない」ことは事実か。

X 結語

1 以上 別訴被告会社が株主として正当な権利を行使していた原告に違法な暴力行為を働いた事実は明らかであり、警察官は原告に対する偏見と別訴被告会社に偏った姿勢からその暴力行為を看過するという違法行為を働き、その責任を逃れるために「その場に警官はいなかった」という嘘で言い逃れをし、後には「早合点」などという言い逃れをするなど、責任を回避し続けた。

2 さらに、企業が株主総会に自らに都合の悪い質問、発言をする株主を暴力で排除するすることを肯定し、その現場で看過することによりこれを支援することをこれからも行うと宣言している。これは明らかに公平であるべき警察の違法行為である。
   このような職務義務違反を監督すべき公安委員会はその責任を免れ得ないのである。

3 被告は原告から別訴被告職場の差別の実情を根拠を示して指摘されている。(甲第20号証)にもかかわらず「差別問題」が事実であるかどうかにも関心を払わず、本裁判に至っても株主総会の目的事項に反する、だからその発言をするものは排除されてもよいという、別訴被告に都合の良い主張をしている。

4 本来「差別」「人権侵害」は正義に反する概念である。これらは企業であれ、その他社会においても存在してはならないものである。警察は「正義」を擁護する機関でありながら差別、人権侵害を指摘し、改めさせようとする原告の行動に敵対する姿勢を示している。被告の社会正義に対する感覚の欠如を示すものと言わざるを得ない。

5 現在、多発する警察の不祥事による警察に対する国民の信用失墜が問題にされている現実を被告は否認している。まさに危機意識のなさを物語っていると言わざるを得ない。

6 原告の運営するホームページの掲示板には警察と企業の癒着を指摘する書き込みが相次いだ。警察の天下り先として企業が存在し、企業の労務対策として警察の天下りが就任している事実が指摘されている。
  また公安委員会も多くが警察出身者で占められ、「仲間内」の意識から本来の目的が機能していないとの指摘もあった。
   本件もその例であると思われる。裁判所はこの不正を正さねばならない。

               
                                   以上