副 本
平成15年(ワ)第2805号 損害賠償等請求事件
原 告 田 中 哲 朗
被 告 東 京 都
準 備 書 面 (2)
平成16年10月14日
東京地方裁判所八王子支部民事第4部1係 御中
被告指定代理人 土 田
同
同
同
ー1−
立 替
松 本 邦 男S
清 水 和
中 島 利 適F
原告は、2004年8月17日付けの準備書面(原告2)(以下「原告準備書面2」という。)によって、原告が被ったとする損害について種々主張する。
しかしながら、原告の主張する損害は、いずれも、国家賠償法1条1項に基づいて被告が賠償責任を負うべき「損害」に当たらないから、被告としては、反論をするまでもないものと考えるが、敢えて、以下のとおり反論する。
なお、略語については、本準備書面において新たに読み替えるもの以外は従前の例による。
第1原告準備書面2の第1において原告が主張する損害について
1「肉体的損害」について
(1)原告は、本件株主総会において、沖電気の警備員が、暴力をもって原告を排除することを三田署員が傍観していたから、被告にも原告の被った肉体的損害について賠償責任がある旨を主張する(原告準備書面2の第1、1)。
(2)しかしながら、仮に、沖電気の警備員が原告に暴行したというのであれば、その賠償責任は、当該警備員ないし沖電気が負うべきものであって、被告が賠償責任を負う理由がないことはいうまでもないことである。
原告は、沖電気の警備員の暴行行為に対し、警察官の犯罪阻止義務違反をもって被告の責任を論じるもののようであるが、そもそも、その前提として、本件株主総会において、沖電気の警備員が暴力をもって原告を会場外へ退場させた事実はないから、三田署員が警備員の暴行を傍観したなどという事実もなく、したがって、肉体的損害に関する原告の主張は、いずれにしても前提において失当である。2 「精神的損害」について
(1)原告は、本件株主総会において、公平であるべき警察に暴力を看過され、沖電気に偏った不公平な対応をされたり、三田署員に嘘をつかれるなどして、 警察に不信、絶望感、恐怖心を抱き、精神的損害を被ったなどと主張する(原告準備書面2の第1、2)。(2) しかしながら、被告準備書面(1)で述べたとおり、孫田警部らは、そもそも、原告と警備員との間において、相互に暴行等の事実がなかったから、警察措置を執らなかったものであるし、新山警部補は、結果的に、早合点をして、事実と異なることを原告に伝えたが、故意に原告に虚偽の事実を告げたものではないから、たとえ、原告が、警察に対して不信や絶望感を抱いたり、警察が沖電気の味方をするのではないかという恐怖心を持ったとしても、それは国家賠償法1条1項に基づいて、被告が賠償責任を負うべき損害に当たるものではない(福岡高裁平成4年2月28日判決・判例タイムズ778号88ページ、大阪高裁平成4年7月30日判決・判例タイムズ789号94ページ)。
したがって、精神的損害に関する原告の主張は、失当である。
3「名誉の毀損」について
(1)原告は、本件株主総会において、沖電気が、原告に対し、物理的力を加え、身体の自由を拘束して、株主総会の会場から引きずり出し、犯罪者が現に犯罪を犯している場合の処遇をしたり、これによって、原告の社会的信用を失墜させたりしているところ、三田署員が沖電気の暴力行為を黙認することによって、被告は沖電気のした名誉毀損に加担したなどと主張する(原告準備書面2の第1、3)。
(2)しかしながら、たとえ、本件株主総会において、沖電気が、原告を犯罪者のように処遇したり、原告の社会的信用を失墜させたとしても、三田署員が沖電気の暴力行為を黙認するなどして加担した事実はないから、仮に、沖電気が原告の社会的信用を失墜させたというのであれば、その賠償責任は、沖電気が負うべきものであって、被告が賠償責任を負う理由がないことは明白である。
したがって、名誉毀損による損害に関する原告の主張も、失当である。
4 「経済的損害」について
(1)原告は、沖電気の株主としての権利を守り、警察による不当逮捕の危険を回避するために弁護士を依頼せざるを得なかったとか、三田署長や公安委員会の不誠実な対応のために本件訴訟を提起するに至らざるを得なかったために経済的、時間的労力がかかることになり、経済的損害を被ったなどと主張する(原告準備書面2の第1、4)。
(2)しかしながら、原告の主観的な思い込みや不満によって、弁護士を依頼したり、本件訴訟を提起したからといって、それに要した費用について被告に請求するのは筋違いも甚だしく、被告が賠償責任を負う理由がないことは明白である。
したがって、経済的損害に関する原告の主張も、失当である。
5 「株主の権利の侵害」について
(1)原告は、本件株主総会の会場から排除され、株主としての権利行使を阻害され、被告はそれに加担したなどと主張する(原告準備書面2の第1、5)。
(2)しかしながら、たとえ、原告が、株主としての権利行使を阻害されたとしても、それは、沖電気の警備員が原告を排除したことによるものであって、三田署員ないし被告がそれに加担した事実はないから、仮に、沖電気が原告の株主としての権利を侵害したというのであれば、その賠償責任は、沖電気が負うべきものであって、被告が賠償責任を負う理由がないことは、火を見るより明らかである。したがって、「株主の権利の侵害」に関する原告の主張も、失当である。
第2 原告準備書面2の第2において原告が主張する損害について
原告は、2004年6月29日に開催された沖電気の株主総会において、暴力的に排除され、損害を被った旨を主張するが、仮に、かかる事実とそれによる損害が存在したとしても、本訴の請求原因事実と何ら関係のないものである。
したがって、原告のこの点の主張が失当であることは、明らかである。
第3 原告準備書面2の第3及び第4において原告が主張する損害について
原告は、「湯布院贈賄事件」を引き合いに出したり、沖電気において人権侵害があるとして、緯々主張するが、かかる主張は、本訴の請求原因事実と何ら関係のないものである。
したがって、原告のこの点の主張も失当であることは、明らかである。
第4 結語
いずれにしても、原告が主張する損害は、損害とは認められないものであるか又はいずれも三田署員の行為とは因果関係がないものであることが明らかであって、原告の本訴請求が失当であることは明白である。