これまで会社は「田中は暴言を繰り返してきた」とあたかも支離滅裂な議事妨害を繰り返してきたかのような主張をしてきましたが、だいぶ正直になってきました。
録音テープの存在の威力だと思います。
「採決を取らないないのならその理由を述べて欲しい」という要求に
応えず、「あまりにも理不尽な議事運営には納得できない」と発言していることも、書いていません。
会社にとっては真実が最大の弱み。
平成15年(ワ)第2823号 損害賠償等請求事件
原 告 上 田 恵 弘
被 告 沖電気工業株式会社
準 備 書 面(1)
東京地方裁判所八王子支部 民事第3部1A係 御中
被告訴訟代理人弁護士 内藤貞夫
被告訴訟後代理人弁護士 長家広明
同弁護士 渡部朋広
第1 2004年1月30日付け第1原告準備書面「第1原告の主張」に対する否認
1「1 原告意見陳述」について
認否の必要を認めない。
なお、付言すれば、原告が偏見と憶測に基づき被告に対処している事実を、この「原告意見陳述」は、より一層明らかにしているものと言わざるを得ない。
因みにその主張の幾つかを例示すれば次のとおりである。
@ 原告が被告を批判するところのものは、訴外田中哲朗(以下「訴外田中」と言う。)が一方的に述べた事実を真実であると決めつけていることに他ならない。A 原告は佐高信の言葉を当然のこととして被告に当てはめて被告を糾弾しているに過ぎない。
B 原告は、日経文庫の「株主総会の進め方」に記載する「経営者と株主との問の有意義な関係を築くこと」の部分のみを採りあげて株主総会の目的、意 義等々全体の在り方を理解しようとしていない。
2「2 2002年第78回定時株主総会での状況」について
(1)(1)は認める。(2)(2)のうち、訴外田中が原告より先に質問したこと、訴外田中の発言の中に「株主総会の開催日を集中日でない日にして欲しい。そのことについて採決をとって欲しい。」という趣旨の発言が含まれていたこと、訴外田中の質問に対する回答の中で議長が上記採決の要求につき採決の必要を認めない旨回答し採決を行わなかったこと、訴外田中が議長の指名を受けないで「採決をとってください。」という不規則発言を繰り返し株主総会の運営を著しく妨害したことから、議長は再三に亘り警告をしたが、その警告を無視し続けたので、議長が訴外田中に退場を命じたこと、及び訴外田中が議長の退場命令に従わないことから議長が警備員に命じて訴外田中を退場させたことは認める。その余は否認する。
(3)(3)は否認する。
原告の質問の中には訴外田中に関係している質問もあったが、当該総会において訴外田中が退場処分を受けたことに関する質問ではなかった。原告の質問は、被告八王子工場の敷地内に侵入した訴外田中を警備員が敷地外に退去させた件につき、当該警備員の行為は被告の社長あるいは役員の指示に基づくものであるか否かという内容であった。
いずれにしても、原告の質問は、それ自体会議の目的事項から外れるものであった。
(4)(4)のうち、議長が上記(3)記載の原告の質問に関しては会議の目的事項以外であることを理由に回答しない旨説明したこと、原告が議長の指名を受けないで「答えてください。」「人権問題です。」等と不規則発言を繰り返したこと、議長が原告に退場を命じたこと、原告が議長の退場命令に従わないことから議長が警備員に命じて原告を退場させたこと、及び原告を退場させる際には警備員が原告を会議場の外へ押し出す方法で原告を退場させたことは認める。その余は否認する。
前項記載のとおり、原告の質問は明らかに会議の目的事項から外れていたのであり、議長の処置は極めて適切なものであった。
(5)(5)のうち、原告が玄関近くのロビー状になっているところまで連行されたことは否認し、その余は不知である。
連行という表現に相当するような強制力を警備員が原告に対して行使した事実はない。
原告が主張する事実からも明らかなとおり、原告は総会議場内で上着の損傷が発生したことは知らなかったのである。訴外田中から上着が損傷していることを指摘され、気づいたに過ぎないのである。
(6)(6)は不知である。
3「3 2003年第79回定時株主総会での状況」について
(1)(1)は認める。
(2)(2)のうち、原告の質問の中に企業の社会頁献に関連した質問が含まれていたことは認める。議長の回答について原告がどのような印象を持ったかについては不知である。被告は上記の質問に対して適切に回答している事実が存する。
(3)(3)のうち、原告の質問の中に「わたしは去年、強制排除されました。背広を破られたんです。」「それについて社長に謝罪をお願いしたい。」という発言があったこと、及び不規則発言につき注意をしたが十分理解が得られなかったために原告に退場願った旨議長が説明したことは認める。
その余は否認する。
なお、原告の上記内容の発言は、原告の発言の最後ではなく、原告の発言の冒頭であった。いずれにしても、原告の質問は、第78回定時株主総会に関するものであり、第79回定時株主総会の会議の目的事項から外れるものであった。これに対する議長の回答は、十分かつ適切なものであり「無責任極まる」などといった誹りを受けるいわれはない。
4「4 原告の主張」について
全て否認ないしは争う。
なお、特に(3)については、そもそも原告の質問が会議の目的事項から外れていることは自明であるから、主張自体失当と言うべきである。
第2 被告の主張
1 訴外田中に対する退場処分について
(1)議長による議事整理
訴外田中は、2002年第78回定時株主総会において、株主として質問を行ったが、訴外田中の質問の中には、「株主総会の開催日を集中日でない日にして欲しい。そのことについて採決をとって欲しい。」という内容の発言が含まれていた。これに対して、議長は、訴外田中の質問に対する回答の中で、上記採決の要求については採決の必要を認めないと説明し、採決を行わなかった。この点、訴外田中による上記採決の要求は、適正な手続きに則った株主の提案権の行使には当たらない。このため、採決の必要を認めないとして採決を行わなかった議長の議事整理は適法かつ妥当である。(2)訴外田中の不規則発言
しかし、訴外田中は、議長の上記議事整理に不満を持ったことから、議長の指名を受けないまま、立ち上がり、大声で「採決をとってください。」という発言を繰り返した。(3)不規則発言に対する中止命令
そこで、議長は、訴外田中に対し、着席すること及び不規則発言をやめることを命じた。ところが、訴外田中は、議長の命令を無視して立ち上がっての不規則発言をやめなかった。
(4)退場の警告
そこで、議長は、「これ以上不規則発言をされる方は、退場願うことになります。」と退場を警告したうえで、数回にわたって訴外田中に対して不規則発言の中止を命じた。しかし、訴外田中は、立ち上がっての不規則発言をやめなかった。
(5)退場命令
そこで、議長は、訴外田中に対して退場を命じた。また、さらに、訴外田中が退場命令に従わず不規則発言をやめないことから、議長は、警備員に命じて、訴外田中を退場させた。
(6)まとめ
上記一連の流れからして、訴外田中に対する退場処分は、議長の秩序維持権の行使として適法かつ妥当である。
2 原告に対する退場処分について
(1)議長による議事整理
原告は、2002年第78回定時株主総会において、訴外田中が退場させられて以降、5名の株主が質問を行った後、議長の指名を受けて株主として質問を行った。この時の原告の質問は数点にわたっていたが、当該総会における訴外田中の退場処分に関連している質問はなかった(この点について、原告には誤解があるようである。)。ただし、原告の質問の中には、被告八王子工場の敷地内に侵入した訴外田中を警備員が敷地外に退去させた件につき、当該警備員の行為は被告の社長あるいは役員の指示に基づくものであるか否かという内容の質問が含まれていた。これに対して、議長は、原告の質問に対する回答の中で、上記の質問については会議の目的事項以外であることを理由に回答しない旨説明した。
この点、原告の上記質問は、個別の工場敷地侵入案件に関する質問であり、会議の目的事項と関連していない。このため、会議の目的事項以外であることを理由に回答しなかった議長の議事整理は適法かつ妥当である。
(2)原告の不規則発言
しかし、原告は、議長の上記議事整理に不満を持ったことから、議長の指名を受けないまま、立ち上がり、大声で、「答えてください。」「人権問題 です。」等と不規則発言を繰り返した
(3)不規則発言等に対する中止命令
そこで、議長は、原告に対し、着席すること及び不規則発言をやめることを命じた。ところが、原告は、議長の命令を無視し、立ち上がっての不規則発言をやめなかった。このため、議長に指名されて原告の次に質問に立った株主が質問しようとするが、原告の不規則発言に遮られて、質問ができない状態となってしまった。(4)退場の警告
そこで、議長は、「ご協力頂けない場合には、ご退場願います。」と退場を警告したうえで、数回にわたって原告に対して不規則発言の中止を命じた。
しかし、原告は、なおも立ち上がって大声を張り上げての不規則発言をやめず、会場内は騒然とした雰囲気に包まれた。(5)退場命令
そこで、議長は、議事の進行を図るため、やむを得ず、原告に対して退場を命じた。ところが、原告は、議長の退場命令にも全く司を貸さず、立ち上がって大声を張り上げ続けた。そこで、議長は、やむを得ず、警備員に命じて、原告を退場させた。なお、原告を退場させる際、警備員は、原告の腕をつかんだり羽交い締めにしたりといった方法をとらず、あくまでも原告を会議場の外へ押し出す方法で原告を退場させたに過ぎない。
(6)まとめ
上記一連の流れからして、原告に対する退場処分は、議長の秩序維持権の行使として適法かつ妥当である。また、原告を退場させるあたって、警備員は、原告の着衣が破れるほどの有形力を行使しておらず、警備員の行為によって原告の着衣が破れることはあり得ない。
3 原告の2003年第79回定時株主総令に関する主張について
原告は、前回の期日において、裁判官の釈明に対し、2003年第79回定時株主総会における被告代表者の行為は請求原因を構成するものではなく事情として主張するものに過ぎない旨明言した。その明言にもかかわらず、原告は、2003年第79回定時株主総会における被告代表者の行為が違法であると主張し、再びこれを請求原因として主張するかのようである(第1原告準備書面5頁「4 原告の主張3)」)。
このような原告の主張は、裁判所による争点整理を全く無視するものであるから、当然に却下されて然るべきものである。
なお、第79回定時株主総会においては、ある株主から次のような発言がなされている。すなわち、「審議は十分尽くされたと思います。一部の何十年か前の全然関係ない、職場復帰の場に株主総会がなっていることが非常に残念です。こういう人たちを排除する方法を何とか考えていただきたいと思います。
この場所でやるべきことではないと思います。十分審議が尽くされましたので、きましたならばこれで閉会にさせていただきたいと思います。あなたの質問は、当を得ていない。そんな不当解雇の問題に、この場があるのではないのだから。やるのだったら、裁判所かほかの場所で争いなさい。」という発言がなされているのである。この株主の発言は、原告はか訴外田中に同調するグループの行動が被告の株主総会の運営をいかに妨害しているかを如実に表している。
第3 ビデオテープの提出について
被告は、2002年第78回定時株主総会の状況をビデオテープに録画している。このビデオテープを再生し、映像と音声によって当該株主総会の状況を確認すれば、原告の主張に理由がないことは直ちに明白となる。このため、被告としても、当該ビデオテープを証拠として提出することについて検討中である。
しかしながら、当該ビデオテープを書証として提出した場合当然のこととしてその写しを原告に交付することとなり、その場合、原告がその内容を編集し、そのビデオテープがインターネット上で公開される虞が存在する。その場合、株主総会の実体が歪められるだけでなく、総会に出席した多数の株主のプライバシーが侵害されることとなる。現に、本件訴訟において裁判所に提出されている訴状、答弁書、準備書面及び書証等は、全て、訴外田中の運営するホームページ上で公開されている。このような現実に鑑みると、原告により当該ビデオテープがインターネット上で公開される危険性は極めて高いと言わざるを得ない。このため、被告としては、検討中ではあるが、当該ビデオテープを書証として提出することは避けるべきであるとの考えにウェイトを置いている。
この点、当該ビデオテープを書証として提出するのではなく、検証物として提出し裁判所が検証を行うのであれば、上記のような危険性は回避できる。しかし、当該ビデオテープは、株主総会における決議に猥痕がないことを立証するための証拠として用いることを目的として撮影されたものであるから、当該目的以外に使用すること自体、当該ビデオテープに撮影されている多数の株主の肖像権の侵害ともなりかねない。このため、被告としては、当該ビデオテープを検証物として任意に提出することにも躊躇を覚えざるを得ない。ただし、検証物提出命令が出された場合、これに応じて当該ビデオテープを裁判所に提出することはやむを得ないと考えている。