平成15年(ワ)第2823号 損害賠償等請求事件
原告 上  田  恵  弘

被告 沖電気工業株式会社


準 備 書 面(5)

平成16年11月5日



東京地方裁判所八王子支部 民事第3部1A係 御中


被告訴訟代理人弁護士 内藤貞夫


被告訴訟後代理人弁護士   長家広明


同弁護士   渡部朋広 




   
                   

     
第1原告の訂正後の請求原因


原告第5準備書面による訂正後の請求原因について認否を明らかにする前提として,上意訂正後の請求原因を念のために確認すると,以下のとおりとなる。


「被告会社の門前で誰かがビラを配布しようとしても誰も受け取らないという異常な状況に象徴される,被告職場での『人権問題』についての質問を行ったところ,議長はまたもや社員に命じて原告を暴力的に会場から俳除したのである。」

第2 第1記載の訂正後の請求原因に対する認否 

原告が,「それは人権のことです。」と前置きしたうえで,「ビラを受取らないような会社という門前は,これは異常です。国際的な沖電気に相応しくない。是非これを知っているかいないかわかりませんけれども,その責任を私は問いたい。はっきりと答えていただきたいと思います。」との発言を行ったことは認めるが,原告が記の質問を行ったことを契機として原告に退場を命じたこと及び原告を暴力的に排除したことは否認する

 被告がこれまでも主張してきたとおり,上記の質問を含む原告の質問が終わったのを受けて,原告の質問に対して議長が回答し,その後,議長が次の質問者を指名し,既に次の質問者が質問を始めた段階において,原告が次の質問者の前に立ちはだかり!大声での不規則発言を繰り返したことを契機として,議事進行に著しい支障が生じたことから、再三にわたる警告の後に,議長は原告に対して退場を命じたのであって,原告が上記の質問を行ったことを契機として退場を命じたわけではない。」あるいは「人権問題は答えてください。」という言葉の連呼のみであり,質問の体をなしていない。


 また,議長が警備員に命じて原告を退場させたことは認めるが,「暴力的に排除した」という表現は全く当たらない。


解説

「以上」という結びの言葉さえ抜けているこの書面は以下の上田さん準備書面5に答えたものである。

困り果てた会社の言い逃れは

「質問をしたから退場させたのではなく不規則発言を繰り返したからから退場させた」

「質問に答えてください」は言葉の連呼で質問ではない。

というものです。

議長の答弁に質問に答えていない部分がある際、それに答える様促すことも質問であることは言うまでもないことであり、「言葉の連呼」であって悪い理由はない。


2,乙第9号証の検証

(1)第78回定時株主総会において原告の質問は次の4つの質問を行った。(乙9号証)

@ 沖電気の格付けが1つ下げられたことの原因とその責任をどう果たすか

A 1000億円の損失に関わる責任者はだれか、どのような責任を取られたのか。

B 八王子工場門前での田中哲朗氏に対する暴力的排除を原告は目撃しているが、それを社長か役員が命じたかどうか。

C 沖電気門前で誰かがビラを配布しようとしても一人もビラを受け取らないという事実がある。これは異常な状況であり、沖電気の内部に ビラを受け取ると上司から警告され、給料に影響があるという人権を無視した事実があると聞くが、そういうことを認識しているか。

(2)被告社長は上記4つの原告の質問に対し、BCについては答弁を全く行わなかった。(乙9号証26頁2〜17行)

(3) 原告が 答弁のないことに抗議しても「ご着席下さい」というのみで、答弁をしない理由の説明すらしていない。

(4)原告が5回以上にわたって「答えて下さい」と要求して初めて「目的事項以外のことでございますので」とたった一度だけ答えているが、何が目的事項以外なのか、なぜ目的事項以外なのかさえ、全く説明していない。(同27頁3行)

(5)原告は「商法に詳しい弁護士が、株主総会において、会社は人権問題について回答すべきだとおしえてくれた」という趣旨の根拠を示して、さらに回答を求めた。(同27頁5,8,12行)

(6)それに対し被告社長は「お静かに願います」「不規則発言はおやめ下さい」「ご着席下さい」「次の方にマイクを渡して下さい」としか答えず、何の説明も行っていない。(同頁)

(7)これは株主である原告に対し、自らの答弁や議事運営方法について理解を得ようとする姿勢とは到底言い難いものであり、言葉遣いのみは丁寧ではあるが、株主としても人間としても相手の権利を全く認めない、この上なく無礼なものと言わざるをえない。

(8)その後も原告は「人権問題なのだから答えて欲しい」と4回にわたり要求している。(同28〜29頁)

(9)それに対し被告社長は何らの回答も、相手の同意を得るための努力もすることなく退場を命じ、審議を中断してまで警備員に原告を暴力で排除させたのである。(同29頁14〜23行)

(10)すなわち、「原告の退場の契機となった質問」は「人権問題」であった。