平成15年(ワ)第2823号 損害賠償請求事件
原告 上田 恵弘
被告 沖電気工業株式会社
第4原告準備書面
2004年 8月 31日
東京地方裁判所八王子支部 民事第3部1A係御中
原告 上田 恵弘
第1 検証申出書に対する反論
1,被告による検証申出について
(1) 本件審理について、被告が株主総会の状況を撮影したビデオの証拠調べを申出たことそれ自体は、本件事案の真実解明に資するものであって、肯定的に評価できると考える。
(2) ただし、被告の申出の理由等については、極めて不当であって、原告は強くこれに抗議するものである。
(3) 被告は、原告がこれを公けにする可能性を云々し、実質上これを防ぐことを理由として検証を申出た等となすものの如くである。 そしてその際、株主のプライバシーを云々しているが、理由として失当である。
(4) その証拠調べの形式は、検証であっても、被告提出の証拠であっても、いずれであっても原告には異論はない。
ただしかし、いずれにせよ、被告に複製が入手できないというような、民事訴訟の運用原則に反する方法はとられるべきではない。反対当事者として原告が、このビデオテープについて仔細に検討することの出来る機会を保障されるべきは当然である。
2,結論
(1) 被告の検証申出については、本件審理の進捗という点から、原告も異存はないが、申出の理由には異論があり、その撤回を求める。
(2) 検証対象物について、当然ながら、原告がこれを謄写(複製の作成)する権利の確認を前提として、検証が行われることを要求する。
(3) なお、原告としては本件ビデオテープが証拠調べされること自体については、敢えてこれに反対するものではない。
従って、検証という方法によらずとも、当事者である被告によって乙号証として、通常の方法によって提出されるならば、それで可と考えるものである。
第2 被告会社平成16年7月27日提出の陳述書ー乙3号証、乙4号証、乙5号証、乙6号証に 対する認否。
1,
(1) これらは以下に述べるように陳述者が被告と利害関係を有する者であり、被告に不利な事実を陳述することがあり得ないというだけではなく、虚偽の主張が多く含まれるもので、全く証拠価値がない。(2)
@ 特に、被告及びこれら陳述者は、株主総会会場に於ける原告や別訴田中、及びその支援者の発言は株主総会を混乱させることを目的としたものだった、などと主張しているが、被告は総会をビデオで記録しているのであるから、それを客観的な証拠として提出した上で主張すべきである。A 被告が株主のプライバシーを云々するのであればその音声及び反訳を証拠として提出すればよい。
B このようなことは、被告が事実を明らかにしようとしているのであれば、原告から指摘されるまでもなく判断できることである。
C 被告がそれをせず、虚実混在する陳述書によって自らの主張をなす事は、被告が事実を積極的に明らかにしようとしておらず、その主張の多くが虚偽であることの証左であると言わざるを得ない。
(3) またこれら陳述書は後に示す理由で陳述者が自らの記憶と意志で書いたのではなく、被告からの情報と指示によって書かされた、若しくは被告が陳述者の名を騙って書いたとしか考えざるを得ないものである。
(4) 被告がこれら陳述書を 陳述者が自らの記憶と意志で書いた如くにねつ造したのであればこれは文書の偽造という犯罪行為に該当する。
(5) これら陳述書は証拠さえねつ造する被告の不当性を示す証拠として採用されるべきである。
(6) よって 認否、反論の必要も無いものであるが一応の反論を行う。
2,乙6号証について
もっとも分量の多い本号証から反論する
(1)この陳述者は被告会社の従業員であるから、被告の不利になる事実の陳述をすることは考えられず、本陳述書は証拠価値がない。
(2)78回定時総会、開会前について。
陳述者は松野株主と田中株主が「退場させられた事に抗議した」「2人で大声で騒ぎ始めた」などと主張している。
その際の録音と反訳である甲第17号証を見ればその主張が虚偽であることが明らかである。
この中で松野株主は
「まだですね、9人の株主がまだ挙手してるのに一方的にですね議事を打ち切って、それに抗議した田中さんを暴力的に排除した」
「こういう議事の進行は今年は絶対無いようにして下さい。」
「 沖電気の恥ですよ。」と発言している。被告が「不規則発言を止めろ」というだけで真摯な姿勢を示さないのを見て、別訴田中株主も
「いや本当にあのね、暴力でね、人を、発言する権利のある人を発言させないというのはおかしいですよ。」
「株主総会というのは議論の場であって暴力で人を排除するような場じゃないでしょ。」と発言している。
前年に被告が暴力で訴外田中氏を排除した事実をふまえ「議事に暴力を用いないで欲しい」ということが、松野、田中両株主の要求であったのに、陳述者はその事実に全く触れず「田中株主」を「退場させたことに抗議した」「騒いだ」と事実を歪曲して主張しているのである。
(3)「田中株主の退場」について。
陳述者は別訴田中氏が行った質問に関し以下のように主張している。
@ 田中は会議の目的事項からはずれた発言を行った。
A 被告職場に人権侵害があると主張した。
B それは根拠のないものだった。
C それは質問というより演説のようなものだった。@については根拠を示さず、AB については別訴田中氏は、被告株主総会において毎回差別の実例を示して指摘しているのである。この総会においても
@ 「1978年に行われました大量の首切り合理化以降、職場の中で、争議を支援する人や、あるいは会社に対して従順でないという人に対して、様々な差別が行われました。」
A「1991年に浦和地方裁判所仮処分、本庄工場の眞喜志さんが被告から仕事差別を受けたとする裁判」。
等、と根拠を極めて具体的に示して指摘しているのである。(必要に応じ別訴田中裁判で提出してある、この際の録音と反訳である、甲第1号証を証拠として提出する)
しかし、この陳述者は、被告の主張そのままに、自らは根拠を示すことなくこれらの指摘に対し「根拠無く」と主張しているのである。
Cについても、被告の主張とおなじである。この質問の録音を聞けば陳述者の主張が虚偽であることは明確である。また質問を演説と感じるという個人の主観によって差違があって当然の感覚が統一されていることもこの陳述書の不当性を示しているのである。
(4) 「上田株主の退場」について。
陳述者は「議長の回答が終わっているにも関わらず」「しつこくしかも繰り返し発言を止めませんでした。」と主張する。原告は議長が答弁を拒否したから回答を求め続けただけであることは既に主張した。(5)79回定時総会、議事妨害行為について。
陳述者は原告や田中株主が「議事運営ルールに反対して」「不規則発言を続けた」と主張する。しかし、事実は前年、別訴田中株主が暴力排除されたことを受けて、別訴田中氏が護衛を依頼した大口昭彦弁護士が「質問をしているだけの株主を暴力で排除しないように」と議事運営に関する当然の動議を出したのにも関わらず、被告が答弁を拒否した為、多くの一般株主が被告に抗議したのである。この際抗議した株主は別訴田中氏の支援者のみではなかった。(6)「上田株主の発言」について。
ここでも陳述者は被告の主張をそのまま述べさせられているに過ぎない。
(7)「田中株主の発言」について。
@ 上記(4)で述べたことと同様、被告の主張を述べさせられているに過ぎない。
A 被告株主総会においては、被告が準備した大量の株主が議長が発言するたびに「了解!」「議事進行!」などと叫び、一般株主の質問を威嚇する「演出」を被告は繰り返してきた。
B そのような株主は一般の株主からの質問の回答を議長が拒絶したさい、「議長の指名を受け」自分が発言を始めることで、前質問者の質問を遮り、議長の答弁拒否を支援する役割を持っている。
C この陳述にはその状況が被告に偏った立場で述べられているのである。
(8)「議事の打ち切り動議」について。
この動議も毎年被告の準備した株主によって出され、被告の準備した株主の挙手によって「可決」されるのである。
議長により発言の機会が約束されていたはずの多くの一般の株主の質問がこれによって打ち切られ、総会を終了させることさえも起きている。「一般株主」とは疎外田中氏の支援者のみを指すのではないことは言うまでもない。(9)「閉会後」について。
上記(8)で述べたような不当に議事を打ち切る議事運営に抗議する株主が存在することは自然なことである。(10)「この陳述書作成にあたりまして」について。
陳述者は@「上田株主を含む田中株主に同調する株主」が
A「田中株主の事実上の復職等の目的達成を狙って」
B「目的事項とは無関係の質問を繰り返し行う」
また
C ホームページで被告の誹謗中傷を行い、総会が長時間化したことを誇り
D 被告に対する嫌がらせ行為を繰り返しと主張している。
これらもまさに被告の主張そのままであり、根拠が必要な主張に関しても根拠が示されておらず、ABについては別訴田中氏から別訴において根拠を示して反論されていることであり。全く意味をなしていない。
3, 乙第5号証について。
(1)この陳述者は被告会社の従業員であるから、被告の不利になる事実を陳述をすることは考えられず、本陳述書は証拠価値がない。
(2)この陳述の中には原告の主張を裏付ける部分も存在する。
@ 被告はその準備書面1において。「原告を退場させる際、警備員は、原告の腕をつかんだり羽交い締めにしたりといった方法をとらず、あくまでも原告を会議場の外へ押し出す方法で原告を退場させたに過ぎない。」と主張する。(p7)
A ところが本陳述書によると,「上田株主はライジングサンの警備員の2人が右脇と左脇に腕を深く入れて,2人にかかえられるような格好で株主退場経路のドアから出てきました。」と明らかに被告準備書面と矛盾する主張がされているのである。(P3)
B すなわち「押し出す方法」ではなく、2人の警備員が原告の「右脇と左脇に腕を深く入れ」る事によって原告の両腕を自分の体に固定し、身動きが取れないように強く拘束しているのである。
C この方法は被告の主張する「押し出す方法」とはほど遠い。
@ 「押し出す方法」であれば押された者の両手は自由であるはずであるが、この方法では両手は完全に拘束されており、被告が否定する「掴む」よりもさらに両手の自由を奪っているのである。
A また「押し出す方法」であれば、押されたものが、自分からすすんで外に出ようとすれば、その自由は許されていると考えられるが、この方法はそれとは違い、拘束された者の自由は完全に奪われており、拘束した者からどこに連れて行かれようと抵抗できない、まさに逮捕拘禁された状態であり、2人の人間が協力して行う「羽交い締め」と呼んでもよいほどの拘束である。
D このような連行方法により被告警備員等が原告に対して多大な肉体的、精神的苦痛を与えたのである。
@ 別訴田中氏は別訴の中で「肩に怪我をしているから暴力を振るわないで欲しい」と医師の診断書を示して訴えたのにかかわらず、この警備員によって暴力を振るわれ負傷を悪化させられたと訴えている。
A ところがやはり被告は田中氏に対し「押し出す方法」を用いたと主張し田中氏の主張を否認している。
B しかし原告に用いた 「右脇と左脇に腕を深く入れる事によって両腕を固定する方法」を別訴田中氏に用いれば、非常に強い力が田中氏の負傷している肩にかかり、負傷を悪化させることは疑いがないのである。
(3) このように、被告警備員等は株主を負傷させるほど乱暴な行動を取っていながら、被告はそれが、より穏やかなものであったかのごとく事実を歪曲した主張をしていることが、この陳述で明らかになったのである。
(4) 陳述者は原告がジャケットが破れていると指摘されて「ビックリした」と主張している。これは原告がはじめから破れた上着をを着て来たのではなく、「ビックリした」直前に破損されたことを裏付けるものである。
(5)また(p4)には「田中株主や上田株主、もう一人の株主らは、乙第1号証の図2の下にある『石段』という文字のすぐ右上にある矢印の所に集まって、3人で会話を交わしながら、株主総会が終了するのを待っていました。」「総会が終了し、一緒に敷地外に出て行きました。」とあるがこれは事実無根である。実際は原告は上着の破損箇所を田中氏に撮影してもらった後、預けていた雨傘を会社から受け取って田町駅から電車で八王子へ帰ったのである。その証拠が会社側提出の乙7号証13枚目にある。上段の写真は2002年の株主総会に出席し総会終了後「一緒に敷地外へ出た」人たちの記念写真である。この中に原告はいない。乙5号証は信用できない。
4,乙第4号証について。
(1)この陳述者は被告会社の従業員であるから、被告の不利になる事実を陳述をすることは考えられず、本陳述書は証拠価値がない。
(2)この陳述は乙第6号証と不自然に類似しており、その類似は事実関係のみならず、別訴田中氏の質問が演説のようなものだったという、個人によって差違が生じて当然の、しかも事実と異なる感想を、被告の主張そのままに述べていることからも、被告がねつ造したことを裏付けているのである。
(3)被告は原告や別訴田中氏の質問が、これら陳述者の言葉を騙ってまで主張したいほど場違いな「演説」であったと主張するのであれば、全ての総会をビデオで記録しているのであるから、その音声の録音と反訳を証拠として提出した上で主張すべきである。被告がそれをしないことは被告の主張が虚偽であることの証左であると言わざるを得ない。
(4)また原告が排除される状況について
@ 被告警備員は「押し出した」「掴んでいない」
A 「三好株主が引っ張った」などと主張している。@ についてはそれが虚偽であることはすでに述べた。Aについてはそれが虚偽であることを後述する。
5,乙3号証について
(1)この陳述者は被告会社によって雇われている企業の人間であるから、被告の不利になる事実を陳述をすることは考えられず、本陳述書は証拠価値がない。
(2)陳述者は何の根拠も示さず「一度も株主様に危害を及ぼしたことはありません。」などと主張するが、実際には原告の上着を破損し別訴田中氏の負傷を悪化させることに加担したのである。
(3) 「危害を加えることないよう」にするために事前講習を行ったとあるが、危害を加えるのを目的にするマニアルや講習などありえないことであり、なおかつ100%マニアル通りに物事は行かないことは普通のことで今回の事例も後に詳しく検証する。
6,一連の陳述書に関して (被告の主張と陳述の一致)
(1), 株主の発言が目的事項であるかどうかなど判断すべきではない警備員責任者までも被告の主張と同じ判断、主張をしている。これは被告の主張を陳述書という形で繰り返しているにすぎないことの証左である。
(2)田中株主の退場
ここでも陳述者は
@ 田中株主の発言は質問というより演説というものだった。
A 職場に人権侵害があるからやめよというものだったが根拠の無いものだった。
B その内容は会議の目的事項にはあたらなかった。
などと主張している。
これは、@AB共にまさに被告が本裁判及び別訴田中裁判でしている主張そのままである。
実際には田中株主は人権侵害の実例を示しているのに、この陳述者は何をもって「根拠がない」と判断できるのか。被告の主張を陳述の名を借りて繰り返しているにすぎないのである。
B についても、沖電気行動規範には人権侵害について記載されており、人権問題は株主総会の目的事項であるにも拘わらず、陳述者は「目的事項ではなかった」と根拠も示さず、被告の主張を単に繰り返しているのである。
7, 陳述書のねつ造について。
(1) 平成16年7月23日頃の日付けで作成されたこれら陳述書は、事件が2年も前のことなのに各自が株主の発言の内容、その時間を詳しく記憶しすぎている。複数の人間がそれぞれ、これほど詳細に記憶しているなどとは常識的には考えられないことである。これを合理的に考えるならば
@ 陳述者が現場でいちいち時間を確認しながら詳細なメモを取っていた。
A 陳述者が被告から総会の記録ビデオを見せられた。
B 陳述者は被告の言うとおりに書かされた。あるいは被告が陳述者の代わりに書いた。
としか考えられない
(2)例えば、乙第4号証の陳述者は
@ 「私は・・・議場内においては,責任者として議場全体を見渡せて適切な監督ができるよう配慮して,議長席からみて左手の壁際の前の方(別紙議場内図A地点)に位置していました。」と陳述している。
A そして陳述者はその位置から警備の指揮監督を行っていた、と陳述している。(以上乙4号証p2)
(3) この陳述者は警備全体の指揮監督をしながら、立ったまま議事の詳細な記録をしていたことになる。
にもかかわらず、この陳述者は陳述書の中で以下のことを自分の記憶の如く陳述している。
@ 株主の氏名
A 発言の内容の詳細
B 発言開始の時間
C 発言に要した時間
D 議長の発言の内容
E 議場内の混乱の中でいつ誰が何をどのようにしたかという状況(4)しかし、このような詳細な記録は警備の指揮監督をしながら、しかも立ったままで可能だとはとうてい考えられない。
@ 陳述者はいちいち腕時計で時間を確認しながら、株主の名前を記憶し、詳細をこと細かに書き留めなければならないのである。
A 特に上記Cの議場内の混乱の中で誰が何をしたかという状況については@「ところが田中株主は,議長の回答が終了しているのに,席から立ち上がり,採決を求めその要求を再三に亘って執拗に求め,止めようとしませんでした。近くにいた警備員が着席するように求めましたが,聞き入れませんでした。」
などと「近くにいた」警備員が着席するように求めたと、警備員と株主の詳細な位置関係まで記録し
A 「田中株主はその質問を遮るように大声で自分が求める採決を要求し続けました。このときには、松野株主,三好株主も席を立って,口々に大声で田中株主に同調して怒鳴り声を上げるものですから,議場内は騒然とした雰囲気に包まれました。」
などと、名乗ってもいないか、名乗ったとしても発言の際一度しか名乗っていない株主の名前を正確に認識して記憶し、だれがいつどのように行動したのかを正確に記憶もしくは記録しているかのように陳述されている。(以上乙第4号証p4)
B 混乱の中で、しかも警備員の指揮をしながら、立ったまま、このような詳細が記録できるとは、とうてい考えられないのである。
(5) むろん記録もせずにそのような詳細を2年間も記憶することは人間の出来ることではない。
(6) もし、この陳述者が議場の混乱の中においても詳細を筆記して記録出来た、もしくは、記憶の鮮明な総会の直後に記録したと被告が主張するのであれば、なぜそれを証拠として添付しなかったかの釈明が必要である。
(7) 以上、この陳述書は陳述者の記憶で書かれたものではあり得ないことが明確になったのである。
8,原告が退場させられた際の質問
(1)被告は原告が退場させられた際に行った被告職場の人権侵害についての質問は「目的事項」ではないから回答しなかったと主張し、その回答を求め続けた原告を強制排除したことを正当化している。
(2)しかし被告が2002年1月1日に制定した「沖電気行動規範」(甲12号証) には「健全な企業活動の展開」「関係法令等の遵守」「企業市民としての社会への責任」「基本的な人権の尊重」等々立派な文言が載って居り感銘を覚える。
(3)この規定は第78回株主総会の年頭に制定されたものであり、当の社長もその作成に関わっているはずである。しかも第80回株主総会の報告事項であり、歴然とした「目的事項」とされている。(甲14号証)
(4) 従って、原告が人権問題について質問した時点においても当然それは「目的事項」であったはずである。
(5) 社長が「目的事項ではない」として答弁を拒否することはい不当である。
(6) 当然の事として答弁を求め続けた原告を強制排除することは不当である。
第3 乙8号証(報告書)に対する認否
1,「報告書」による被告の主張
(1)被告は「報告書」において「別紙」の写真を示し「ある株主」が原告の左腕を強くひっぱっていると主張している。
(2)これはこの株主が原告の上着を破損した「犯人」であると主張しているものと推測されるが言いがかりとしか言いようがない。
(3)すなわち、この写真で明らかなことは「ある株主」は原告の上着の破損部分を引っ張っているのではないということである。
(4)またこれは原告が暴力を受けた時間の内の一部のみ(37秒間)しか示しておらず、原告がもっとも手荒く扱われた会場の外の状況は全く示していないのである。
(5)事実は以下に示す如く被告警備員が原告の上着を破損したとしか考えられないのである。
2,被告警備員による上着の破損
(1)被告警備員が株主を強制排除する際には、被告が主張するような「押し出す方法」ではなく2人の警備員が株主の脇に深く腕を通し、自分の腕と体の間に挟んで固定する方法をとることは上記した。
(2)警備員がこの拘束の方法をとるためにはまず相手の腕を取ってそれから自分の脇にその腕を挟み込まなければならない。
(3)しかし原告は当然これには従おうとせず警備員を振り払おうとしたのであるから警備員は複数回、原告の前後、あるいは横から原告の腕を取って自分の脇に挟み込もうとする行動を取ったのである。
(4)警備員が従おうとしない原告に繰り返しこの様な行動を取ったため、警備員の手が原告の上着の破損部分に引っかかり、それを破損せしめたと考えざるを得ないのである。
(5) 会社側が撮影したビデオの映像写真(別紙 番号15、16,17)が拡大され「ある株主が、原告の退場を阻止しようとして、原告の左腕を引っ張っている様子」として提出されている。しかしこれは原告の上着の破損部分を引っ張っているのでは無いことは明らかであり、何ら原告の上着の破損との因果関係を裏付けるものではない。むしろ破損部分を引っ張っていないことが明らかなことから、破損部分を引っ張り破損せしめたのは被告警備員でしかあり得ないことを証明しているのである。
(6) この写真番号9以下19までによれば、被告警備員は明らかに原告の右腕を拘束していることが分かる。また原告は正面を向いているのに位置が移動していることも分かる。すなわち被告警備員が「押し出す方法」ではなく、「腕を取って」「引きずり出し」ていることを証明しているのである。
(7)会社側ビデオの映像写真でわかるとおり 原告の「退場」は少なくとも4人の警備員によって執行され(映像番号6,7,8,12,14,15)原告の体の自由を左右前方から奪い(番号12)被告は否認しているが原告の腕や上着に手をかけ(番号18,19)文字通り逮捕、もしくは拉致された状態のもとに約40メートルはなれた玄関近くまで強制連行されたのである。この間完全無口の警備員らによる連行は、物理的抵抗を一切しなかった原告に多大な苦痛と恥辱を与え続けたのである。
第4 論点とまとめ
(1)第78回株主総会で原告がした質問が目的事項でないとして回答せず、株主の固有の質問権そして議決権を奪ったことについて被告会社社長は独断で、質問が目的事項であるか否かを決めつけているが、不当である。先に述べたように、 会社内に基本的人権が保証されていないのではないかと言う原告の2002年6月の株主総会での質問は、その年の1月1日に制定された沖電気行動規範に完全に関係する問題で、しかもこれは会社の存在基盤を問うものでもありこれへの回答を拒否することは許されない。
事実2004年株主総会にあってはこの行動規範は目的事項として登載されており(甲第14号証)同じものが第78回株主総会では目的事項でないと言うことは失当である。
(2)被告は大分県湯布院町の公共事業受注にかかわり、町長に贈賄を行う犯罪を犯し、2名の被告従業員が有罪判決を受け、2004年3月、大分地方裁判所において刑が確定した。
被告社長は第80回株主総会において「湯布院贈賄事件」に関わる田中哲朗氏の質問(損害額をいくらと算定したかという)に回答せず、つよく求め続けた田中氏をまたまた「退場」させたのである。
この質問は被告の「行動規範」に反する犯罪、不祥事であるだけではなく、被告経理に関する質問であり、「目的事項」であることは疑いがない。
社長は質問が目的事項であるなしに関わらず会社の不祥事とあらば株主の質問権など全く無視してしまうのだということを多くの株主のまえで見せつけたのである。こんなことが許されるというのならば株主総会を開く意義はなくなってしまう。
(3)先に証人尋問を申請したが、上にみるようにことは社長の議事運営とその責任に深く関わっているので、社長の尋問を最優先として改めて申請するものである。
(4) 終りに当たって原告の考えている本訴訟の意義についてのべることを許されたい。そもそもの発端は会社のなかに憲法の保障する基本的人権が確立されることを願っての原告の株主総会への出席とその為の質問であった。
憲法11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保証する 基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。
この憲法を絵に描いた餅に終わらせてはならない。沖電気行動規範も然りである。私たちは不断の努力によってこれを保持しなければならない。(憲法12条)この訴訟を契機に沖電気に憲法とその精神をふまたと思われる行動規範が名実ともに生かされていくことを期待するものである。
以上