平成15年(ワ)第2823号 損害賠償請求事件
原告 上田 恵弘
被告 沖電気工業株式会社
第7原告準備書面
2004年11月19日
東京地方裁判所八王子支部 民事第3部1A係御中
原告 上田 恵弘
第1 株主の「質問」について
(1) 被告社長は議長として
「質問は前を向いて行って下さい。演説ではございません」
とたびたび発言している。
また、被告は陳述書による陳述の形で
「田中株主の質問は,質問というよりは演説というようなものでして」
と主張している。(乙6号証3頁)
(2)このことから、被告は株主が株主総会において行う「質問」を、あたかも小中学校において生徒が教師に対して行う質問と同様、知識の無いものが知識のあるものに尋ねるごときもの、「教えを請う」ごときもののであるかのように誤解していると推測される。
だからこそ「質問は演説であってはならない」と考えていると推測される。
(3)広辞苑には、質問は「疑問または理由を問いただすこと」と記されている。すなわち、「問いただす」のであり、「教えを請う」ことではない。(4) 例えば、国会において、総理大臣の所信表明演説の後行われる代表質問等の「質問」は、総理大臣に「教えを請う」のではなく所信表明の中の問題を指摘し、自らの考えを、他の国会議員、国民に示し、同意を求めることを目的としている。
(5) 株主総会における株主の質問も、議長に対して知らない事、分からないことについて「教えを請う」のではなく、会社説明の問題点を「問いただし」問題点に関する自らの考えを示し、会社役員に対してのみならず、他の株主に対し同意を求めることが当然行われるのである。株主に向かって自らの持つ考えや情報を示し、語りかけることは、株主総会の目的に沿ったことであり、従って「質問」は同時に「演説」でもあり得るのである。(ただし原告や別訴田中が「演説」を行ったと主張するものではない)
(6) 株主は、会社から示された情報と他の株主からの質問によって示された情報に基づいて自らの意志を決定し、議決に参加するのである。
(7)すなわち、商法に定められた株主総会における株主の質問権とは、「分からないことを尋ねる」権利ではなく、同意出来ないことについて会社を「問いただす」権利である。(8) そうでないのであれば、株主総会に株主、会社役員が一堂に会する必要はなく、「質問」のある株主は書面で問い合わせ、会社も書面で回答すれば済むことであり、株主総会が開催される必要がないのである。
(9)被告は、株主が商法にのっとって、会社を「問いただす」権利を有しているという認識がないため、不当にも答弁を安易に拒否してはばからないものと推測されるのである。
以上